2025.04.03

「お客様の声」を製品開発やビジネス拡大に結びつけるベストプラクティス

多くの企業は「お客様の声」(Voice of Customer:VOC)を、より良い製品の開発やサービスの改善に活かそうとしています。

しかし、VOCとはコンタクトセンターに寄せられるお問い合わせや要望、クレームだけではありません。SNSやECサイトでのレビューや、過去に接点がありながらも継続的な製品やサービスの購入に至らなかった理由、他社製品やサービスに乗り換えた原因なども大切なVOCです。

こうしたお客様の「本当の声」を効率的に収集・分析・活用するには、どうしたらいいのでしょうか。

目次

「お客様の声」をどう集めて、活用すればいいのか

VOCを効率的に収集するには、コンタクトセンターに寄せられるお客様からの問い合わせや要望、クレームなどをまとめて収集する方法が一般的です。ただし、製品やサービスの売れ行きが伸びると、それに比例してコンタクトセンターへの問い合わせなども膨大になります。

迅速に対応しようと安易にコンタクトセンターのオペレーターの人数を増やしてしまうと、人件費が利益を圧迫することにもなりかねません。そのため「人を増やさず」に、効率的にお客様の声を収集・対応できる施策を検討しなくてはなりません。

課題はお客様の声への対応・収集・分析・活用

VOCをビジネス拡大に結びつけるには?

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お客様が抱える課題

また、過去に接点がありながら製品やサービスの継続的な購入に至らなかったお客様や、他社製品やサービスに乗り換えたお客様から本当の理由を収集するには、電話をかけるなどのアウトバウンドコールが必要です。

ただし、例えばお菓子メーカーなど「お客様と直接つながる機会を持ちにくい」製造業、自社の製品やサービスの販売を代理店に任せているBtoB企業などでは、そもそもお客様の情報を持っていないことが多く、アウトバウンドコールを実践できないケースもあります。その他にも、人材不足でアウトバウンドコールにまで手が回らない企業も多いでしょう。

一方、お客様と直接つながることができるBtoC企業であっても、アップセルやクロスセルにつなげられない、長きにわたって製品・サービスの購入がない休眠顧客の掘り起こしができず、製品やサービスを購入しないお客様の本当の理由を収集できないことに課題感を持っている企業は多くあります。

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大切なのはインバウンドとアウトバウンドの2つの視点

こうした課題を解決するには、どうしたらいいのでしょうか。

コンタクトセンターやアウトバウンドコール業務をアウトソースするという解決策がありますが、その際には、信頼できるアウトソース先を選定できるかどうかが重要になります。

インバウンドとアウトバウンドの2つの視点で課題解決のための施策について説明します。

VOC分析に基づくデータドリブンな取り組みができるか

まず、インバウンドの視点で、増え続けるお客様の声に対応するために、コンタクトセンターをアウトソースするという解決策について考えてみます。

その際に注意すべきことは、コンタクトセンターのお客様対応の善し悪しが、そのまま自社の評価に直結してしまうリスクがあるということ。信頼できるアウトソース先を選ばなくてはなりません。

また、コンタクトセンターのアウトソースでVOCを収集できたとしても、膨大な情報をきちんと分析し、製品開発やサービス改善に活かすような提案までをしてもらえるのかどうか、つまり、VOC分析に基づいたデータドリブンな改善提案をしてもらえるのかどうかもとても重要です。

もしコンタクトセンター業務を自社でまかなう場合には、増え続ける問い合わせ対応の効率化のためにチャットやメールなどのデジタルツールの活用や、問い合わせ専用ポータルサイトやFAQを開設して、問い合わせ件数を減らす対策(呼減対策)にも取り組む必要があります。

アウトバウンドコールのアウトソースで気をつけたいこと

一方、休眠顧客の掘り起こしや製品・サービスの購入が途絶えたお客様から本当の声を収集するために、アウトバウンドコールをアウトソースするという解決策があります。

この場合も、質の高いアウトソース先を選ばないと、アウトバウンドコールを受けたお客様が不快な思いをして、自社の評判が下がってしまうということも考えられます。

さらに、お客様から「購入をやめた理由を聞き出す」だけではなく、現在のお客様の検討状況などもヒアリングして、最終的には営業担当者がもう一度、電話をかけられるような、いわゆるリードナーチャリングをベースとしたアウトバウンドコールを実施してくれるのかどうかも重要なポイントです。

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VOC分析、アウトバウンド、BPOまで多層的な対策を

お客様の声を製品開発やサービス改善に結びつけるには、増え続けるお客様の声への対応といったインバウンド視点、休眠顧客の掘り起こしなどのアウトバウンド視点の両方を持ち、それによって収集した情報の分析と活用が重要です。

博報堂グループの日本トータルテレマーケティングではそうしたお客様のニーズにお応えするために、さまざまなソリューションを提供しています。

「お客様満足度」を重視したソリューション

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VOC分析、アウトバウンドコール、BPOまで、多層的な対策が効果的

まず、コンタクトセンターサービスでは、チャットやメールなどのデジタルツールを活用し1人のオペレーターが対応できるお客様の人数を増やしているほか、チャットボットによる自動対応などで、お客様をお待たせする時間を短縮します。

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また、電話での問い合わせに対し、「電話以外の方法(チャネル)を案内する」ビジュアルIVRの機能も提供。さらに、問い合わせをしてきたお客様の年齢などによって「電話による温かみのある対応」か「チャットでスピーディーな対応」かを柔軟に変えています。

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また、呼減対策では、問い合わせ対応専用のポータルサイトを開設するだけではなく、最も問い合わせが多い項目と回答を「目のつきやすいところ」に配置。情報をこまめに更新して「電話で問い合わせをしなくても回答がわかる」ようにし、お客様満足度の向上を図っています。

一方、休眠顧客の掘り起こしのためのアウトバウンドコールでは、リードナーチャリングをベースとしたアウトバウンドコールを実施。その際、「成果報酬型にこだわりすぎない」ようにして、オペレーターが「前のめり」になってしまうのを抑制しています。

勧誘性の強い電話になってしまった場合、お客様は次から電話に出てくれなくなり、やがて電話を架けられるお客様が「枯れて」いなくなってしまいます。この「今後二度と電話にでていただけない(価値を失った)リストにしかねない」を起こさないことを心がけているのです。

まとめ

お客様の声を収集してビジネスに活用するには、VOC分析やアウトバウンドコールでお客様の声を収集しフィードバックすることが大切です。さらに、VOC分析から知見を得て新規サービスを立ち上げたり、キャンペーンを実施したり、期間限定でPoCを実施するには、その取り組みを陣頭に立って推進する「事務局」的な機能が必須になります。

しかし、事務局的な機能を自社でまかなうには人員や運用のノウハウが必要で、それを持っていない企業も多いでしょう。そんなときは、事務局的な機能を含めてアウトソースできるBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)も選択肢のひとつ。

日本トータルテレマーケティングでは、BPOサービスも提供しています。VOC分析、チャットボットなどのデジタルツール、アウトバウンド、BPOといった、多層的な対策を施すことがVOCを製品開発やサービス改善に活かすベストプラクティスなのです。

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大村 大(おおむら・だい)

日本トータルテレマーケティング株式会社営業本部営業二部次長
博報堂プロダクツカスタマーリレーション事業本部

2003年に日本トータルテレマーケティング株式会社に入社。BtoB、BtoCのコンタクトセンター業務(ボイス、ノンボイス)・バックオフィス業務を中心に運用設計・マネジメントを実施。現在はデジアナ統合テーマにコンタクトセンターにおける次世代コミュニケーションの開拓とサービス開発を担当。博報堂プロダクツと資本提携後、2019年4月以降、博報堂グループにおける専任営業、広報として活動中

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