最終更新日 2024.3.19

CSV経営とは?メリット・デメリットと実践に向けた3つのアプローチを解説

近年、社会問題の解決とビジネスを融合させたCSV経営が注目を集めています。しかし、「CSV経営とはそもそも何?」「CSV経営に取り組むメリットは?」といった疑問を持つ人も多いのではないでしょうか。

本記事では、CSV経営とは何か、そのメリット・デメリット、CSV経営を実践するための3つのアプローチを詳しく紹介します。

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目次

CSV経営とは?

まずは、CSV経営とは何か、よく間違えられるCSRについて触れながら詳しく解説します。

CSV経営とは

CSV経営とは、企業が経済的な成功とともに社会的な影響を生み出すことを目的とする経営戦略のことをいいます。CSV(Creating Shared Value)は、日本語では「共有価値の創造」と訳され、2011年に米国の経済学者マイケル・ポーター氏らによって提唱された概念です。

これまでも慈善活動や寄付活動を行い、社会問題に取り組む企業は存在しました。しかし、社会的価値の創出と経済効果は相容れないという考え方をする経営者もいます。そこで提唱されたのがCSV経営です。

CSV経営では、事業を通じて社会問題に対してアプローチすることで社会問題を解決する「社会価値」と、事業を行う企業の利益を創出する「企業価値」のどちらも高められる状況を目指すことが大切とされております。

博報堂SDGsプロジェクトでは、「ダブルインパクトの同時達成」のミッションのもと、得意先の経済的インパクト(利益向上)と社会的インパクト(環境面、社会面)を同時達成を目標に活動しています。単に「世の中や環境に良いことをしよう!」ということに留まらず、その活動が得意先にとって利益をもたらし継続できる活動だからこそ、真のサステナブルであるという考え方で活動しています。

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CSRとの違いは

CSVとよく似た言葉に、CSR(Corporate Social Responsibility)があります。CSRは「企業の社会的責任」という意味で、この社会的責任とは、消費者や従業員、投資家など幅広いステークホルダーを重視しつつ、環境への配慮など社会貢献を目指すことを意味しています。

CSRは、自社の利益を追求するだけでなく、環境活動などを通じて社会問題の解決に寄与することが企業の義務だという考え方です。具体的なCSRの活動の例としては、発展途上国への支援や環境保護活動などがあり、必ずしも本業と関連性があるわけではない活動を実施します。

CSRもCSVも企業が社会問題の解決に取り組むという点では同じですが、その活動が事業として行われ、企業に利益をもたらすために実践されるか否かという違いがあります。

 

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CSV経営が注目される背景

CSV経営が注目される背景には、SDGs(持続可能な開発目標)の普及があります。2015年に国連サミットでSDGsが制定され、政府だけでなく企業にも、社会・環境・経済の問題を解決するための活動が求められるようになりました。

脱炭素化に代表される環境問題や高齢化社会に向けた社会福祉問題など、世界規模で見たときに取り組むべき問題は数多く存在しており、企業運営を行ううえでも見過ごせない状況となっております。その結果、既存事業とSDGsを関連付けた活動を行う企業が増加し、CSV経営にも注目が集まるようになりました。

この流れは消費者心理にも影響を与え、社会問題の解決に向けたサービスを利用したい、環境に配慮した商品を購入したいというニーズの高まりをみせています。

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CSV経営により得られるメリット

CSV経営は、企業イメージ向上や社会問題解決への貢献・新たな技術・知識の習得などのメリットをもたらします。ここでは、CSV経営によって企業が得られるメリットを以下の3つに分けて詳しく解説します。

  • 企業のイメージ向上につながる
  • 社会問題の解決に貢献できる
  • 新たな技術や知識の習得ができる

企業のイメージ向上につながる

CSV経営には、企業のブランドイメージの向上につながるというメリットがあります。社会に好影響を生み出す活動に関心をもつ投資家は多いため、CSV経営を実践する企業は、投資家からの支援が得られやすくなることがあります。また、ブランドイメージの向上は競合他社との差別化にも寄与し、新規顧客の獲得にもつながってきます。

スーパーでとある商品を購入する際、金額に大きくな差異がなければ、社会貢献しているイメージがある商品と無い商品、どちらを選ぶでしょうか?社会貢献している商品を手に取る人の方が多いのではないでしょうか。さらに、社会的な責任を果たしているという好印象は、人材確保の際にも有利になる可能性があります。

社会問題の解決に貢献できる

CSV経営は、社会問題の解決に貢献できるということもメリットです。基本的に、企業は生産や利益の創出を目的として事業を行う組織です。しかし、企業運営においては、単に利益を求めるだけでなく社会問題への解決に貢献することが期待されます。

CSV経営では、製品やサービスを提供する経済活動を行いながら社会的な課題の解決も同時に行います。事業を通じて収益拡大を進めながら、社会問題の解決にも貢献できることは大きな魅力だといえます。

新たな技術や知識の習得ができる

新たな技術や知識の習得ができることも、CSV経営のメリットです。例えば、社会問題の解決に向けて新たな商品やサービスの開発を行った結果、これまでになかったアイデアを発見することがあるかもしれません。また、CSV経営を通じて、ビジネスと社会課題の融合に関して学ぶことも新たな知識の習得に繋がります。

 

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CSV経営によるデメリット

CSV経営に取り組むときには、メリットだけでなくデメリットも理解しておく必要がございます。ここでは、CSV経営によるデメリットを以下の2つに分けて詳しく解説します。

1社では問題解決が難しい

多くの社会問題は規模が大きいものが多く、1社だけでは問題解決が難しいということがデメリットの1つです。気候変動問題や教育格差、高齢化社会問題などの解決は、企業単体で達成できることではありません。

しかし、小規模な活動から取り組みを始め周辺のコミュニティや関係者とのパートナーシップを結び、社会課題の解決に貢献することは可能です。複数の企業が同じような方向性で社会問題の解決に取り組む流れができれば、より大きな問題の解決に向けた一歩が踏み出せるでしょう。

長期的な取り組みとなる

CSV経営は、長期的に取り組む必要があることもデメリットの1つです。CSV経営をはじめて、すぐに結果が出て評価される可能性は低いといえます。

CSV経営は社会問題への貢献とビジネスを融合させたものであるため、単純に問題解決の結果だけでは評価できません。企業利益や売上高、株価などの指標、地域社会との交流、従業員やパートナー企業との関係など、さまざまな視点から評価する必要があります。

CSV経営に取り組んで比較的すぐに得られる評価として、企業のブランドイメージ向上やリピーター率アップといった顧客との関係改善が挙げられます。しかしながら、基本的には長期的な取り組みになることを意識したほうがよいでしょう。

 

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CSV経営の実践に向けた3つのアプローチ

CSV経営を実践するために、マイケル・ポーター氏は「製品と市場の見直し」「バリューチェーンの生産性の再定義」「地域支援のための産業クラスターの形成」の3つのアプローチがあると提唱しています。

製品と市場の見直し

CSV経営を実践するには、自社の製品と市場の見直しをすることが重要です。まずは取り組む社会的な問題を決定し、その解決につながる製品やサービスを提供するというステップを踏みます。

新たな製品・サービスを開発するケースだけでなく、すでに発売している製品の価値を見直し、品質や使いやすさを向上させるのも方法の1つです。製品価値の見直しを図ることで、競合企業にはない市場を開拓できる可能性も秘めています。

バリューチェーンの生産性の再定義

バリューチェーンの生産性の再定義も重要なアプローチの1つです。バリューチェーンとは、製造工程・販売・マーケティング・配送などを含む、製品やサービスが生み出されるまでの一連の企業活動を指します。

通常のバリューチェーンは、製品やサービスの価値を高めることで顧客満足度や収益性を向上させる目的で構築され、製造からデリバリーまでの一連の企業活動を最適化することが念頭に置かれます。しかし、CSV経営においては収益性の向上だけでなく、企業が持つリソースや技術を活用して、社会問題の解決にも注力する必要があります。

地域支援のための産業クラスターの形成

地域支援のための産業クラスターの形成も重要なアプローチの1つです。産業クラスターとは、同業者や関連業者が集まって形成される地域経済の中心地のことをいいます。

例を挙げると、地域の資源や技術を活用した事業の開発、地域の人材育成支援などがあります。産業クラスターが形成されることで、地域経済の発展に寄与し、同時に企業自身の持続可能な発展を図ることが可能です。

 

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CSV経営の5つの実践事例

CSV経営についてより理解を深めるために、実際にCSV経営を行っている企業の実践事例を紹介します。

食品メーカー

食品メーカーのA社では、主力商品であるスナック菓子の外袋を紙製に変更し、プラスチックごみの削減に取り組んでいます。これには、商品を手にした消費者がプラスチックごみの問題に関心を持ってもらうというねらいもあります。

また、菓子の原料を生産する農家に苗を提供し、栽培方法の勉強会を行う支援活動も行っています。支援活動の結果、企業は品質の高い原料を買い取ることができ、同時に生産農家を社会的・経済的に豊かにする目的も達成されます。

飲料メーカー

飲料メーカーのB社は、原料の生産現場での後継者不足や、高齢化問題による生産高の減少に悩まされていました。そこで、農家と生産物の全量買取の契約を結ぶとともに、生産するうえでの技術提供や栽培の機械化の支援をはじめました。

企業にとっては安定的な原料調達の目的が達成され、農家にとっては雇用の創出や後継者不足の解消につながる取り組みだといえます。

総合飲料メーカー

総合飲料メーカーのC社では、酒類を取り扱う企業として、飲酒による健康被害問題への解決に取り組んでいます。具体的には、商品パッケージに注意喚起の表記をしたり、ノンアルコール製品の開発・販売を行ったりといった活動が挙げられます。

スポーツ用品メーカー

スポーツ用品メーカーのD社は、海洋環境保護団体と協力し、海洋プラスチック廃棄物を原料としてさまざまなスポーツウェアの開発を行っています。製品を手にとった消費者に海洋プラスチックごみ問題を意識付けながら、売上目標を達成するための活動だといえます。

食品メーカー

飲食メーカーのE社は、生活習慣病の予防に向けて減塩技術を向上させ、新たな商品開発を行っています。また、商品の製作工程では原材料のロスを出さないことを目指すとともに、賞味期限の年月表示を行いフードロス問題に取り組んでいます。

 

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まとめ

CSV経営には、ブランドイメージの向上だけでなく社会問題解決への貢献や新たな技術の習得などさまざまなメリットがあり、長期的な視点で取り組む姿勢が求められます。CSV経営では、実践に向けたアプローチへの深い理解が欠かせません。

CSV経営についてさらに詳しく知りたい場合、ノウハウを持つ専門家に相談してみませんか。博報堂グループでは環境・人権などに配慮したサステナブルな商品の企画や販売などを幅広くサポートする「販促品・販売品のサステナブルライン」や、 CO2削減やカーボンオフセットに向けた支援を行う「Earth Hacks」など、CSV経営に向けてのサポートを行っています。

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BIZ GARAGE 編集部

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