最終更新日 2023.8.29

CSRとは?企業が活動を取り入れるメリット・デメリットと進め方を解説

企業が社会的責任を果たすことはCSRと呼ばれ、現在では多くの企業が取り組んでいます。しかし、「営利目的で経営する企業が、CSRに取り組む理由がよく分からない」「CSR活動には興味があるが、何をどうすべきか分からない」などの不安を抱えている経営者も多いのではないでしょうか。

そこで本記事では、CSRの基礎知識や企業がCSR活動を取り入れるメリット・デメリット、進め方を詳しく解説していきます。

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目次

CSRとは?

CSRとはそもそもどういう意味があるのでしょうか。ここでは、CSRについて以下3つの観点から詳しく解説していきます。

  • CSRの意味
  • SDGsとの違い
  • CSRの7つの原則

CSRの意味

CSRとは、Corporate Social Responsibilityの略称で、「企業の社会的責任」という意味です。経済産業省によると、CSRの定義は以下の通りです。

「企業の社会的責任」とは、企業が社会や環境と共存し、持続可能な成長を図るため、その活動の影響について責任をとる企業行動であり、企業を取り巻く様々なステークホルダーからの信頼を得るための企業のあり方を指します。

出典:企業会計、開示・対話、CSR(企業の社会的責任)について|経済産業省

企業は、利益追求のみに注力せず、環境問題や社会問題の解決に向けた活動をすべきであるというのが、CSRの考え方です。具体的な取り組みとしては、社会貢献活動・環境保護活動・労働者の権利保護・コンプライアンスの遵守・企業統治の強化などがあります。

CSR活動は、企業にとってもステークホルダーとの信頼関係の構築やブランド価値の向上につながるため、長期的な成長戦略に役立つ活動だと言えるでしょう。

SDGsとの違いは

CSRはSDGsと混同されがちですが、いくつかの点で違いがあります。SDGsは、持続可能な開発を推進するために国際連合が定めた国際目標であり、具体的な目標や指標が設定されています。一方、CSRは企業が自発的に取り組む活動を指し、社会的なインパクトを測定する指標や評価方法は確立されていません。

しかし、企業のCSR活動はSDGsで掲げられた国際的な目標の達成にもつながることがあり、全く別物だとも言い切れません。例えば、環境保護や気候変動対策、廃棄物の削減といったCSR活動は、SDGsの「気候変動対策」や「持続可能な消費と生産」などの目標にも寄与します。

つまり、企業がCSR活動に積極的に取り組むことは、社会的責任を果たすことに加え、SDGsの達成貢献にもつながる意義のあるものだと言えるでしょう。

CSRの7つの原則

CSRには、国際規格(ISO2600)があり、企業が重視すべき視点として、以下7つの原則が定められています。

  1. 説明責任:消費者に対して正確かつ十分な情報の提供
  2. 透明性:腐敗や不正行為を防止し、透明性を確保した公正な取引の実施
  3. 倫理的な行動:公平・誠実な倫理観を持った事業活動
  4. ステークホルダーの利害の尊重:株主・消費者・従業員・取引先など多様な利害関係者への配慮
  5. 法の支配の尊重:事業を行う上で各国の法令や法律を遵守
  6. 国際行動規範の尊重:国際的に認められた基準の遵守
  7. 人権の尊重:人権を尊重し、差別や虐待を行わない

CSR活動では、上記の原則を遵守した経営を行うことが重要です。 

企業がCSR活動を取り入れるメリット

企業がCSR活動を取り入れるメリットには、主に以下の3つがあります。

  • 企業評価が向上
  • 社員満足度の向上と人材確保
  • 法令違反のリスク回避

企業評価の向上

企業がCSR活動を取り入れることは、企業価値の向上につながるというメリットがあります。CSRの一環として社会・環境問題の解決に向けた活動に取り組むと、消費者や投資家などのステークホルダーからの評価が上がる可能性があります。

ステークホルダーから信頼を得ることは、事業を持続させるためには重要な要素です。達成することで、資金や資材を調達しやすくなる効果も期待できます。また、CSR活動を行う企業として消費者のブランドイメージも向上するため、企業評価を高めることにもつながるでしょう。

社員満足度の向上と人材確保

企業がCSR活動を取り入れると、社員満足度の向上と人材確保がしやすくなるのもメリットです。社員自身がCSR活動に参加することで、社会貢献への意識を高める効果も見込めます。

また、CSR活動の1つである、残業時間の削減、多様な働き方を実現する制度の拡充といった取り組みは、社員の働き方に直接的に影響します。

社員の働く環境がよくなれば、離職率は低下し、働く意欲が向上する効果が期待できます。また、就職や転職活動で企業選びをする際、企業が積極的にCSR活動をしていることも判断基準の1つとなり得るため、優秀な人材が集まる可能性があるでしょう。

法令違反のリスク回避

企業がCSR活動を取り入れると、法令違反のリスク回避ができるのもメリットです。社会的な良識や規則に則って行動するコンプライアンスの徹底は、CSR活動の中の重要な要素の1つです。

法令遵守に関する活動としては、労働環境の改善や事故防止対策、コンプライアンス教育の徹底などがあります。CSR活動の一環として、法令遵守の意識を高められるため、各種ハラスメントや情報漏えいといった、法令違反のリスク回避が可能になるでしょう。

CSR活動を取り入れるデメリット

CSR活動を取り入れる際には、デメリットを理解しておくことも重要です。ここでは、CSR活動における以下2つのデメリットを解説します。

  • 費用がかかる
  • 経営資源が分散する

費用がかかる

CSR活動の取り組みには、費用がかかることがデメリットの1つです。環境や社会問題に対する取り組みを実践するには、CSR活動のための予算を確保する必要があります。さらに、基本的にCSRは企業の本業とは別に行うもので、利益には直結しません。

しかし、CSR活動は企業の社会的信頼性やブランド価値を高めることに寄与し、長期的な視点で見ると業績向上につながる可能性もあります。そのため、コストと効果のバランスをよく見極め、持続的なCSR活動を実践する必要があるでしょう。

経営資源が分散する

CSR活動を取り入れることによって、経営資源が分散するのもデメリットです。CSR活動には社員や取引先とのやりとり、報告書作成などの作業が発生し、活動に関わる人件費やコストを確保しなければなりません。

これにより経営資源が分散し、本来のビジネスに集中できなくなる恐れがあります。CSR活動にかかる資源と本来の事業に必要な資源のバランスをみて、適切にリソースを割り当てる必要があるでしょう。

CSR活動の進め方5ステップ

CSR活動はどのように進めれば良いのでしょうか、ここでは、CSRを進めるための以下5つのステップを詳しく解説していきます。

  1. 目的を設定する
  2. 計画を策定する
  3. 実施する
  4. 評価する
  5. 報告をする

目的を設定する

CSR活動の進め方の1つ目は、目的の設定です。まず、企業の特性や経営理念・利害関係者の要望・社会課題などを分析し、CSRに関する方針や目標を設定します。そのために、社会的影響を持つ課題を洗い出し、どのような目的を設定するかを明確にしていきましょう。

また、社内外にCSR活動が周知されるまで、現場社員の負荷が大きくなることも理解しておく必要があります。目的が不明確なまま始めてしまうと、活動自体が形骸化する恐れがあるため、目的の設定は重要なステップの1つです。

計画を策定する

CSR活動の進め方の2つ目は、計画の策定です。設定した目的を達成するために、どのような活動を行い、どのような成果を出すかを決定し、アクションプランを策定します。

その後、予算やスケジュールを立て、人員や予算、資材などのリソースを確保します。適宜修正できるよう進捗管理や評価方法を設けておくことも大切です。本業の事業に支障が出ないよう、CSRは継続的に取り組むものだと理解した上で、計画を策定していきましょう。

実施する

CSR活動の進め方の3つ目は、実施です。策定した計画に沿って、アクションプランを実施していきます。計画の策定時に設定した目標と、実際の実施状況を比較していくと、改善点を見つけることができます。

また、CSRは社会的な課題を解決するために行う活動であるため、地域社会や消費者、取引先など外部のステークホルダーと協力して活動を進めることも重要です。外部のステークホルダーとコミュニケーションを密にし、相互の関係性を構築していきましょう。

評価する

CSR活動の進め方の4つ目は、評価の実施です。評価していくことで、活動の成果や課題を把握し、次の計画の改善につなげることができます。また、企業の行うCSR活動が社会的価値を生み出し、企業価値の向上に効果があったかを判断するためにも、評価することは重要です。

また、適切に評価していくことで、社会的な信頼を得ることができ、地域社会・顧客・株主などのステークホルダーとの信頼関係の構築にも寄与するでしょう。

報告をする

CSR活動の進め方の5つ目は、報告です。CSR活動では、評価の結果を社内外に共有していくことも重要です。定期的に活動報告を行うことで、企業の透明性が保たれ、ステークホルダーからの信頼を得られるようになり、企業そのものの評価が向上する効果も期待できます。

報告する方法には、内部報告と外部報告の2種類があります。内部報告は、企業内部に向けた報告を指し、経営層や社員を対象に行われます。CSR活動の影響や結果を知ることで、社員の士気向上につながるでしょう。

他方で、外部報告は、社会や投資家や消費者向けに行います。CSRは、社会に対する企業イメージ向上を目指す側面もあるため、成果があった活動は積極的に報告を行っていきましょう。

まとめ

CSRは、環境保護や社会貢献や労働者の権利保護など、企業が持続可能な社会を築くために行う活動です。CSR活動に取り組むメリットには、企業の社会的評価が高まることによるブランド価値の向上や、ステークホルダーとの信頼関係の構築などがあります。

CSRを進めるためには、自社の取り組むべき目標を設定し、実践していくことが大切です。実施方法に悩んだら、博報堂グループの専門スタッフに相談してみませんか。

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