最終更新日 2023.10.13

カスタマーサクセスにおけるオンボーディングとは?目的やポイントを徹底解説!

近年、カスタマーサクセスに取り組む企業が増えていく中でオンボーディングという言葉を耳にする機会が増えてきています。オンボーディングは、顧客にサービスを継続的に利用してもらい求める成果を上げていただくためにも、サービス導入期において重要なプロセスとなっています。

しかし、カスタマーサクセスにおけるオンボーディングについてノウハウがなく、社内での体制構築について悩まれている方も多いのではないでしょうか。

本記事では、オンボーディングの概要や目的を解説したのち、実施する上で押さえるべきポイントやオンボーディングの具体的な手法などを詳しく解説します。

目次

カスタマーサクセスにおけるオンボーディングとは?

カスタマーサクセスにおけるオンボーディングは、新しい顧客が製品やサービスを利用し始める際に、その利用を円滑かつ効果的にするためのプロセスを指します。

「on-board」を由来としているオンボーディングは、乗り物に乗っていることを意味します。人事業界では、新しい仲間がスムーズに組織に溶け込めるように促進する取り組みを意味します。一方で、マーケティング業界においては、カスタマーサクセスによって顧客が製品やサービスの使用方法や機能を理解して使いこなせるようになるまでを支援するプロセスを意味します。

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オンボーディングを実施する4つの目的

ここでは、オンボーディングを実施する4つの目的について解説します。

  • 顧客の成功体験を実現するため
  • 解約率を抑えるため
  • LTVの最大化
  • 追加サービスの提案

顧客の成功体験を実現するため

オンボーディングを実施する目的の1つ目は、顧客の成功体験を実現するためです。マーケティングにおいては、顧客がサービスを利用し始めてから終えるまでのライフサイクルをフェーズごとに捉えます。

導入期・運用期・活用期・定着期と進んでいく中、オンボーディングは、サービスの導入期から運用期にスムーズに移行してもらうための支援です。カスタマーサクセスの第一歩であるこの段階がうまくいかないと、継続してサービスを利用してもらうことが難しくなります。

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解約率を抑えるため

オンボーディングを実施する目的の2つ目は、解約率を抑えるためです。オンボーディングをしっかり行えば、契約したサービスの自発的な活用が進み、評価いただける機会が増えます。逆に、オンボーディングを行わなければ、使用方法すらわからず本来そのサービスが持つ価値を理解できないまま解約されてしまう可能性が出てきます。

LTVの最大化

オンボーディングを実施する目的の3つ目は、LTVの最大化です。LTVとは、Life Time Valueの頭文字をとったもので、顧客生涯価値のことを意味します。契約開始から終了するまでに受ける利益を最大化することは、売り切り型ではないSaaSビジネスにおいて重要です。

顧客に継続し続けてもらうことで、サービス提供側も利益を得られるため、LTVの最大化に役立つオンボーディングは、重要な施策の一つといえるでしょう。LTVが最大化されることで、1件当たりの獲得にコストをかけることが出来るようになり、より大きな投資を行うことも可能になります。

追加サービスの提案

オンボーディングを実施する目的の4つ目は、追加サービスの提案です。オンボーディングがうまくいけば、利用が促進されサービス定着に向かって進んでいきます。

顧客としても慣れていくことで、追加の機能を利用したくなったり、関連するサービスとの連携を検討したくなったりする可能性が出てきます。最初に提供したサービスが、オンボーディングによってうまく導入が進むことで追加サービスを提案する機会が創出される可能性が高まります。

オンボーディングを実施する上で押さえるべき3つのポイント

ここでは、オンボーディングを実施する上で押さえるべき3つのポイントについて解説します。

  • 顧客状況・課題のヒアリング
  • ゴールの明確化と認識共有
  • ノウハウ蓄積と実施体制構築

顧客状況・課題のヒアリング

オンボーディングを実施する上で押さえるべきポイントの1つ目は、顧客状況・課題のヒアリングです。顧客の現在の状況を理解することは、個社別のオンボーディングプロセスを設計するために必要な最初のステップです。

顧客がどのような課題に直面しているか、どのようなニーズを持っているかを知ることで、顧客にとって有益な情報やリソースを提供できます。個々の顧客の状況・課題に応じた対応をしていくことで、サービスの導入をスムーズに進めることができます。

ゴールの明確化と認識共有

オンボーディングを実施する上で押さえるべきポイントの2つ目は、ゴールの明確化と認識共有です。ゴールを明確にすれば、オンボーディングが顧客のニーズに合わせて設計され、最適な効果が得られているかを判断できます。顧客の判断がゴールの方向とずれてしまう場合は、適切に軌道修正してあげることも可能になります。

また、ゴールの認識共有をするとPDCAサイクルを効率的に回すこともでき、オンボーディング方法の見直しや改善ができます。顧客がオンボーディングをどのように受け止めたか、どのような問題や課題に直面したかを知ることができ、オンボーディングプランの改善に役立ちます。

ノウハウ蓄積と実施体制構築

オンボーディングを実施する上で押さえるべきポイントの3つ目は、ノウハウ蓄積と実施体制の構築です。オンボーディングを効果的に実施するためには過去の経験を蓄積し、成功した手法を把握することが重要です。そのためにはオンボーディングを実施した過去のデータや顧客のフィードバックを収集し、分析する必要があります。オンボーディングの改善には、ノウハウの蓄積が欠かせません。

またオンボーディングを実施するためには、適切な運用体制の構築が必要です。具体的にはオンボーディングのゴール(顧客の状態)を明確にし、オンボーディングを担当するスタッフを任命して責任を明確にします。そこからオンボーディングに必要な人的リソースを確保して研修などを行ったりします。顧客に対するサポート体制を構築し、顧客からの問い合わせに適切に対応できるようにしていきましょう。

オンボーディングの主な実施方法

ここでは、オンボーディングの主な実施方法について解説します。

  • 導入時のメールガイダンス
  • アプリ内ガイダンス
  • ナレッジ共有
  • ミーティングサポート
  • チャットサポート

導入時のメールガイダンス

オンボーディングの主な実施方法の1つ目は、導入時のメールガイダンスです。導入時のメールガイダンスにおいては、最初は顧客の歓迎から始めてみましょう。このメッセージで顧客に対する関心を示すことで、サービスに対する期待感を高めることができます。

次に、紹介するのはサービス概要です。サービスの目的を紹介することで、顧客が何を期待できるのか認識できます。また、連絡先を共有し、問題が発生した場合の対応方法などの明記も忘れないようにしましょう。

これらの要素を含めたメールガイダンスは、顧客とのコミュニケーションをスムーズにし、オンボーディングを成功させるための最初のステップになります。

アプリ内ガイダンス

オンボーディングの主な実施方法の2つ目は、アプリ内ガイダンスです。アプリの目的や機能、利用方法についての簡単な説明を提供することで、顧客がアプリの目的や使い方を理解できるようになります。

またアプリの利用方法について、顧客がアプリの機能をどのように使用するかを理解するため、実際にアプリを操作しながらガイドを提供します。アプリの使用にあたり、特に注意が必要な点や便利なヒントを提供することで、アプリをよりスムーズに使用してもらえるようになります。

問題が発生した場合には、ユーザーが問題を解決できるようにサポートすることも重要です。フィードバックの収集を通じて、アプリの改善に役立てることもできます。

ナレッジ共有

オンボーディングの主な実施方法の3つ目は、ナレッジの共有です。ナレッジデータベースを作成し顧客に共有することで、顧客が何か困ったとき、必要な情報を迅速に取得できる環境を提供します。必要な情報を迅速に取得できるようにするために、整理された情報と使いやすいインターフェースを構築するようにしましょう。

また最新情報を保つため、ナレッジデータベースを定期的に更新することが必要です。ナレッジデータベースが最新情報に更新されていると、顧客がアプリやサービスをより効果的に利用できます。

ミーティングサポート

オンボーディングの主な実施方法の4つ目は、ミーティングサポートです。オンボーディングの一環として、新しい顧客とのミーティングは非常に重要です。ミーティングを通じて顧客は会社やサービスについてより深く理解し、その役割や責任を把握できます。顧客が関心を持つ可能性があるサービスについて説明し、サービスの概要や利点について深掘りしながら顧客に対して説明するようにしましょう。

顧客に対してサービスの紹介をするだけではなく、信頼関係を作る機会にもなることを意識しておくことが重要です。

チャットサポート

オンボーディングの主な実施方法の5つ目は、チャットサポートです。チャットサポートは新しい顧客が遭遇する問題や質問に対応し、スムーズなオンボーディングを促進するためのサポートを提供できます。また、チャットサポートを行う際のガイドラインを策定しておけば、回答のばらつきをおさえ一貫したカスタマーサポートを行うことが可能です。個別のニーズに応じた適切な対応を迅速に行うことで、より良いオンボーディングを実現していきましょう。

セグメントごとのオンボーディング対応

ここでは、セグメントごとのオンボーディングの対応について解説します。

  • 高単価・重要顧客:ハイタッチ
  • 中単価顧客:ロータッチ
  • 低単価顧客:テックタッチ

高単価・重要顧客:ハイタッチ

1つ目は、高単価・重要顧客の場合です。高単価・重要顧客の場合は、対人の手厚いサポートによるハイタッチ型のオンボーディングを行います。ハイタッチ型のオンボーディングは、個々のニーズに合わせたアドバイスやサポートが提供できるため、顧客満足度を向上させることができます。

顧客と長期的な関係を築く必要がある場合や高単価の買い物をしてくれる顧客には、商品やサービスの価値を正しく理解してもらい、十分に活用できるようにサポートする必要があるため、直接担当者とやり取りをするハイタッチ型のオンボーディングが好ましいといえます。

中単価顧客:ロータッチ

2つ目は、中単価顧客の場合です。中単価顧客の場合は、ロータッチと呼ばれる対人とテクノロジーを組み合わせたオンボーディングを行います。具体的にはコールセンターやメール受付・セミナー・勉強会などがあり、必要に応じて個別対応をします。大口顧客とまではいかない中単価顧客に対して用いられることが多い手法です。

低単価顧客:テックタッチ

3つ目は、低単価顧客の場合です。低単価顧客の場合は、テックタッチと呼ばれるITテクノロジーを駆使して対応するオンボーディングを行います。具体的には、Webサイト上にチュートリアルのコンテンツを置き、顧客が自主的に情報を取得して学習できる環境を整えたり、メルマガ配信などで自主学習を促すサポートを実施したりします。個別対応が難しい場合や低単価顧客の場合に主に用いられる手法です。

まとめ

オンボーディングは新規顧客が製品やサービスを理解し継続的にそれらを利用してもらうための重要なステップです。顧客にとっては製品・サービスの利用方法などの導入期の理解を支援してくる有益なものであると同時に、企業にとってはLTVの最大化につながります。そのためオンボーディングの目的と実施する際のポイントをしっかりと理解し、具体的な顧客ごとの対応方法を社内で共有することが必要です。

なお博報堂グループでは、オンボーディングを支援する自社ソリューションとして、「HAKUHODO Marsys Onboarding」も提供していますので是非ご覧ください。

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BIZ GARAGE 編集部

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