2024年10月31日、企業/商品ブランドの価値向上をテーマに新しいPR活動に関するウェビナーを実施しました。課題を抱えている企業が多いなか、企業とメディア双方の効率的・効果的な情報発信ができる新サービスということで、多くの方にご視聴いただきましたので、その模様をお伝えします。
ウェビナーでは、梅乃宿酒造の広報から石塚氏、元通信社記者の中村氏を招き、事業/マーケティング課題を解決するPRの可能性や、記者・広報双方から見たEspresso Hubの活用方法などについて、現場目線で語っていただきました。
また、PRに長く携わる博報堂執行役員の嶋からは、事業/マーケティング課題を解決するPRの可能性について語り、Espresso Hub事業責任者の博報堂の北川がファシリテーターを務めました。
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目次
メディアと広報をオンラインで効率的にマッチングする新しいDXサービス「Espresso Hub」
石塚 好氏(梅乃宿酒造株式会社) 中村 夢子氏(元通信社記者) 聞き手:北川 佳孝(博報堂) 以下、敬称略。
北川 第二部では、第一部でも嶋さんが少し触れていましたが、企業の広報とメディアの記者・番組制作者をつなぐ取材マッチングプラットフォーム「Espresso Hub」について、梅乃宿酒造の石塚さん、記者の中村さんをお招きし、その活用事例をご紹介したいと思います。
まずお二人にお話を伺う前に、「Espresso Hub」の概要についてお話させていただきます。
テーマに沿って欲しい情報を効率的に手に入れたいという記者・番組制作者のニーズと、メディアごとに必要な情報を提供して広報に繋げたいという企業側のニーズ、双方のニーズに応え、メディアと広報をオンラインで効率的にマッチングする新しいDXサービスが「Espresso Hub」です。
⇒「2分で分かる!Espresso Hub」紹介動画はこちら
取材マッチングプラットフォーム「Espresso Hub」の5つの機能
北川 「Espresso Hub」はオンライン上で、企業の広報担当者と記者が必要事項を登録することで、双方が検索できるようになりますが、主に5つの機能があります。
- 取材ネタ登録
- 社会トレンド把握
- 記者検索
- メディアアプローチ
- アプローチ進捗把握
まずは「企業が発信したい広報ネタの登録機能」です。企業が取材してほしいネタや、提供できる情報のタグを登録することで、記者側から検索されやすくなります。
つぎに「社会トレンド把握機能」では、記者が検索しているキーワード情報やメディアが予定している特集情報を公開し、広報に生かすことができます。
「記者検索機能」では、広報担当者が記者や番組制作担当者を探し、個人プロフィールや興味関心を持っているテーマを確認することができます。
「メディアへのアプローチ機能」は、“この人、話題のスイーツ情報を募集している”とか“うちの新商品ぴったりかも”というふうに、記者が募集している取材テーマへの情報提供や、記者への個別アプローチを通して、取材ネタを提案できるメッセージ機能を搭載しています。
さらに、 同じ組織に属する他の広報メンバーが、どの記者・メディアにアプローチしているか「進捗を把握できる機能」もあり、組織内の動きを透明化できます。
以上が、「Espresso Hub」の5つの機能ですが、ここから、梅乃宿酒造・広報の石塚さんと記者の中村さんをお招きし、実際に「Espresso Hub」を活用した感想をお聞きしたいと思います。
まず、中村さんにお聞きしますが、企業情報をリサーチするときに、テーマが先にあって具体事象として企業を探すパターンが多いのか、企業をいろいろと見て、そこからテーマが出てくるのか、いろんなパターンがあると思うのですが、どちらのアプローチが多いですか。
記者の企業情報リサーチ方法
中村 以前、名古屋支社に籍を置いていた時は、担当がある程度決まっていたので情報を集めやすかったのですが、大阪支社に異動になってからは、旬のキーワードを探して、それに関して企業がどんな取り組みをしているのかをリサーチすることが多いです。
情報源の基本は、プレスリリースや記事などですが、それだけだと、他メディアと似たような記事になってしまうので、スマホで流れてくる情報はチェックしますし、WEBに載っている記事は暗記するぐらい集めます。
あとはネットワークを駆使して、人をたどりながら、独自のルートで攻めるようにしています。新聞をチェックするだけだと取り残されるので、Xとかインスタとか、SNSは可能な限りチェックするようにしています。
北川 一方の石塚さんは、中村さんと反対に、記者に企業情報を届ける側でいらっしゃいますが、普段はどのような情報発信をしているのでしょう。
石塚 主にプレスリリースの配信サービスを使用したり、自社で持っているメディアリストの記者の方に連絡して、情報発信しています。弊社(奈良)まで取材に来てくださる地元の記者さんとは日常的に情報交換できますが、例えば東京や遠方の記者の方とは接触する機会もほとんどなく、あってもメールとかWebでという形になってしまうので、それが課題だったんです。
企業広報視点のEspresso Hub活用:企業の担当者と記者という立場を越えて一人の人間としてお付き合いできる
北川 地元だけでなく、全国の記者やメディアとどんどん繋がってブランドの発信を強化していきたいという時に、「Espresso Hub」を活用されていかがでしたか?
石塚 メディアリストを使って地道に活動していた中で、まず「Espresso Hub」に登録してみてと勧められて登録したのですが、いろいろ検索していく中で、中村さんが募集されているテーマを見つけて、すぐ連絡させていただきました。
中村 私のほうも、登録して割とすぐに、石塚さんから丁寧なご連絡をいただいて、そのスピードにちょっと驚きました。
石塚 中村さんは、子育てしやすい企業の取り組みの実例を募集されていたので、すぐに手を上げたんです。記者検索でも中村さんはプロフィールもきちんと登録されていて、この方なら信用できると思いました。
中村 このテーマに関しては、数社の方からご連絡いただいたのですが、石塚さんの返信はとても丁寧で熱意を感じる内容だったので、早速、取材をセッティングさせていただきました。
記者視点のEspresso Hub活用:一過性ではない関係を作ることができる新しいツール
北川 記者の側から、「Espresso Hub」を使ってみていかがでしたか?
中村 年配の記者の方は、自分の足で情報を集めるということを重視する傾向があるので少し抵抗ある方もいると思いますが、「Espresso Hub」は非常に現代的なコミュニケーションサービスだと思います。
若手の記者に紹介したら、すぐ使いこなしていて、現代のコミュニケーションに合っているツールになっていると思います。今は、ニュースが生まれるスピードがものすごく速くなっているので、新規事業者など企業の面白い人を掴んでおくという意味でも、記者にとっては有効なサービスだと思います。
石塚 最初のやり取りから実際に取材記事ができるまでに、中村さんとは、企業の担当者と記者という立場を越えて、本当に、一人の人間としておつきあいできるようになったと感じています。従来のメディアリストをベースとした活動では生まれなかった、新しい信頼関係が作れたと思っています。
中村 新しいDXサービスを活用しても、それを使うのは結局、人と人ですよね。その意味でも、「Espresso Hub」は一過性ではない関係を作ることができる、新しいツールなのかもしれませんね。
内に閉じず、世の中の動きや風を感じながら、ニュースを生み出してほしい
北川 中村さん、最後に記者の立場から、企業の広報担当者の皆さんにアドバイスがあったらお話しいただけますか?
中村 記者は、一日に何人もの広報ご担当者に会うのですが、広報への熱量は千差万別です。キャリアの通過点のひとつとして広報という業務を担当している方は、取材でいろいろ聞き出そうとしても、ホームページに載っている以上のことはなかなか話していただけません。
その反対に、広報をやりたくて情熱を注いでいる方は、情報感度も高くて、いろんな情報を提供してくれます。最近だと、ベンチャーの若手の広報の方はすごく元気があって、記事にしてもらってPRしたいという熱量が伝わってきます。
もちろん、企業規模が大きくなると社内のガバナンスもあるので、難しい面はあるのかもしれませんが、そんな中でも私たち記者は、アイデアマンやキーパーソンを見つけようと努力します。
広報の強みはとにかくパブリックリレーションズを作れることだと思うので、内に閉じず、世の中の動きや風を感じながら、ニュースを生み出していただきたいと思います。私たち記者も、そんなワクワクするリリースを期待しています。
北川 貴重なご意見、ありがとうございます。本日ご視聴いただいている企業の広報ご担当者の皆さまも、この機会に「Espresso Hub」に登録していただき、ブランド価値を向上させるPRを目指していただきたいと思います。
広報と記者をつなぐ取材マッチングプラットフォーム「Espresso Hub」についてさらに詳しく知りたい方は、以下をご覧ください。 |
プロフィール
写真左から、北川 佳孝(博報堂)、石塚 好 氏(梅乃宿酒造)、中村 夢子 氏(元通信社記者)、嶋 浩一郎(博報堂)
北川 佳孝
株式会社博報堂 PR局 PR‐X部 Espresso Hub事業責任者 戦略クリエイティブディレクター
企業のクリエイティブ/コミュニケーション業務全般を担当しながら、博報堂の新規自社事業であるSaaSビジネス「Espresso Hub」の事業責任者を担う。
嶋 浩一郎
株式会社博報堂 執行役員 株式会社博報堂ケトル ファウンダー
1993年博報堂入社。2000‐2001年、朝日新聞社出向。2004年、本屋大賞立ち上げに参画。2006年、博報堂ケトル設立。カンヌクリエイティビティフェスティバル、ACC賞など多数の広告賞で審査員を務める。主な編著書『あたりまえのつくり方』(NewsPicks)、『欲望する言葉』(集英社 松田剛と共著)
石塚 好 氏
梅乃宿酒造株式会社
2010年梅乃宿酒造に新卒で入社。日本酒製造や商品開発、商品受注などの業務を経験した後、2022年より広報を担当。
中村 夢子 氏
元通信社記者
中高英語の教員、大手通信社記者を経て、占い師に。2025年4月からモンテッソーリ教育の小学生向けの教員養成講座を行う一般社団法人「ハトモリトコ」を設立予定。10年間の記者時代には、大手企業のほか、中小企業の経営者と関わり、記事を配信していた。

BIZ GARAGE 編集部
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