最終更新日 2023.10.13

サステナビリティ経営とは?企業が取り組む意義と実現するための5つのステップを解説

SDGsをはじめとした世界的な動きを背景に、サステナビリティ経営に踏み切る企業も増えはじめています。しかし、サステナビリティ経営を行う意義や、実践方法がよく分からないという方も多いのではないでしょうか。

本記事では、サステナビリティ経営とは何かを詳しく解説し、企業がサステナビリティ経営に取り組む意義と実現のためのステップを紹介します。

目次

サステナビリティ経営とは

サステナビリティ経営とは、企業の事業活動を経済・社会・環境の3つの観点で評価し、地球環境や経済活動の持続可能性への配慮をすることで、事業の持続可能性向上を図るビジネス戦略のことを指します。サステナビリティ経営を実践するには、関連する言葉の理解が欠かせません。

ここでは、サステナビリティ、SDGs、CSRについて詳しく解説します。

サステナビリティとは

サステナビリティ(Sustainability)とは「持続可能性」という意味で、長期にわたり自然環境を保全しながら、社会の安定や経済活動を維持するシステムやプロセスを指します。

上記のことから、サステナビリティは経済・環境・社会という3つの観点より考えられています。

経済

個々の企業および社会全体が将来にわたり社会に貢献しつつ利益を創出して成長を続ける

環境

海洋汚染・森林伐採・脱炭素化に向けた取り組みや再生可能エネルギーの活用など、私たち人類が生存し続けるために欠かせない地球を保護する活動を行う

社会

住宅や交通・医療・社会保険・教育などの社会サービスの改善を行い、発展させていくことで社会の安定を目指す

企業の事業に落とし込んだ例としては、生産工程におけるCO2削減、多様な人材の採用などがあります。

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SDGsとは

サステナビリティと混同されやすいものに、SDGs(Sustainable Development Goals)があります。SDGsは、持続可能な開発目標のことを指します。2015年の国連サミットにおいて採択されました。

SDGsの目標は、途上国・発展国を含むすべての国を対象として、環境・社会・経済の3つのバランスが取れた社会を目指すためにあります。「すべての人に健康と福祉を」「働きがいも経済成長も」「気候変動に具体的な対策を」などの、17の目標と169のターゲットが掲げられています。

SDGsは達成すべき目標そのものを指すのに対し、サステナビリティは持続可能性のことで現在から将来にわたって持続できるという概念を指します。そのため、サステナビリティを具体化して目標に落とし込んだものが、SDGsだといえるでしょう。

CSRとは

CSRは(Corporate Social Responsibility)直訳すると「企業の社会的責任」という意味で、主に企業の事業活動を中心としたもので、収益を追求しない社会貢献活動のことを指します。CSRでは、顧客・従業員・取引先・株主・地域住民などさまざまなステークホルダー(利害関係者)と良好な関係を築き、より良い社会を作るために貢献することが企業には求められていると捉えます。

CSRの具体的な事例としては、環境に配慮した製品の開発、植林などの環境保護活動や地域の文化財保護活動などがあります。多くの企業は、これらの社会貢献活動に、本業のかたわらで取り組むのが一般的でした。これに対してサステナビリティ経営は、本業で環境や社会への配慮を成立させるように変革し、事業の持続可能な成長を目指します。

サステナビリティ経営に企業が取り組む意義は

企業がサステナビリティ経営に取り組むことには、どのような意味があるのでしょうか。ここでは、サステナビリティ経営に企業が取り組む意義を、以下の3つに分けて解説します。

  • 新たな市場を開拓する機会となる
  • 消費者ニーズの変化に対応できる
  • ステークホルダーとの信頼関係が築ける

新たな市場を開拓する機会となる

サステナビリティ経営に取り組むと、新たな市場開拓の機会が生まれる可能性があります。例えば、製品を制作する工程でエネルギー消費量と原材料の使用量を削減することで、エネルギーや原料の調達が不安定になる将来のリスクに備えられます。また、コストの削減も同時に行えるため、利益を増大させる効果が期待できます。

また、社会問題や環境問題の解決に向けた取り組みにより、新しい製品やサービスが開発されるケースも珍しくありません。SDGsに取り組むための新規事業を始めたことで、新たな販路を見つけ出す可能性もあるでしょう。

消費者ニーズの変化に対応できる

サステナビリティ経営の実践は、消費者ニーズの変化に対応できるのも魅力です。近年、消費者は環境や社会に配慮した製品やサービスを選ぶ傾向にあるため、サステナビリティに配慮した製品・サービスの需要が増加しています。サステナビリティを意識した製品やサービスを提供することで、このような消費者ニーズの変化に応えることができます。

ステークホルダーとの信頼関係が築ける

サステナビリティ経営の実践は、ステークホルダーとの信頼関係を築くためにも有効です。環境問題をはじめとする大規模な社会問題の解決を目指すためには、政府や国民、そして企業全体による活動が欠かせません。

そのため、投資家が投資する企業を選ぶ際や労働者が就職先を選ぶ際に、企業がサステナビリティに取り組んでいるかどうかも判断基準の一つとされる傾向にあります。また、企業間取引でも、社会・環境に配慮した事業活動が求められるケースは少なくありません。

ステークホルダーと良好な関係を築き、事業を持続・拡大していくためには、サステナビリティ経営が不可欠になりつつあるといえるでしょう。

サステナビリティ経営を実現するための5つのステップ

サステナビリティ経営を実現するための手順は、以下の5つに分けられます。

  • SDGsを理解する
  • 自社が取り組む課題を検討する
  • 具体的な目標を設定する
  • 経営へ統合し実践する
  • 取り組み事例の報告を行う

SDGsを理解する

サステナビリティ経営を実現するためには、まず、SDGsを理解することが第一歩です。SDGsで掲げられた目標に基づいて、より具体的かつ達成可能な目標を設定していくためです。SDGsの目標ターゲットの理解、策定の経緯、企業が活用できるSDGsについて理解し、自社の専門性を生かした活動や、すでに行っている事業との繋がりを把握することが大切です。

自社が取り組む課題を検討する

SDGsを理解したあとは、自社が取り組む課題を検討しましょう。自社の既存事業に関連する環境問題や社会課題を把握していきます。自社の専門領域や既存事業との関連性を考慮して、SDGsのどの目標やターゲットに重点を置いて取り組むかを検討しましょう。

具体的な目標を設定する

サステナビリティ経営を実現するためには、具体的な目標設定が重要です。サステナビリティは短期的に達成できるものではないため、長期的な視点で定める必要があります。SDGsが2030年、カーボンニュートラルが2050年をゴール達成として定めていることを踏まえて、2030〜2050年に達成目標時期を設定するのも方法の1つです。自社が目指す姿として、「いつ」までに「何を」達成するのか、明確な数値目標や指標を定めていきます。10年・20年先の未来を見据えて目標までの道筋を描きましょう。

経営へ統合し実践する

サステナビリティ経営の目標が定まったあとは目標を経営に統合し、実践のフェーズへと移ります。実践する際には、従業員への周知を目的とした研修会や勉強会などを行うとよいでしょう。自社がサステナビリティ経営を行う意義、活動が社会や環境に与える影響、目標までの道筋などを全社員と共有したうえで取り組むことが大切です。

取り組み事例の報告を行う

サステナビリティ経営の実践をはじめた後は、ステークホルダーへ取り組み事例の報告を行います。活動内容の成果を定期的に測定し、レポートを作成して従業員・株主・顧客などへと情報を公開します。SDGsへの取り組み事例を公開することは、企業イメージの向上や好評価が期待できるだけでなく、新たなビジネスの創出に繋がる可能性もあります。

サステナビリティ経営の実践例

サステナビリティ経営のイメージを固めるためには実践例が役に立ちます。ここでは、サステナビリティ経営に取り組む企業の2つの事例を紹介します。

アパレルブランド

アパレルブランドのA社では、使用済みのペットボトルで糸を生産し、新しい衣料品を作るという取り組みを行っています。また世界各地のNPOやNGOと協力して不用となった衣類を回収し、難民キャンプなどに寄贈する活動を進めています。

自動車メーカー

自動車メーカーのB社では、CO2排出量の削減を目指し、電気自動車の開発を進めるとともに生産工程でも再生可能エネルギーを活用しています。また高齢化社会問題への貢献として、前線から退いた再雇用者が働ける場所として工場に手作業で行うラインを設けています。

まとめ

企業がSDGsにどう対応していくのかが注目されるなかで、サステナビリティ経営の重要度が高まっています。一方で、自社におけるサステナビリティ経営の実践に向けて課題が山積しており、何から始めたらよいのか分からないという企業もあるでしょう。博報堂グループでは、企業のSDGsに対する取り組みを支援しています。サステナビリティ経営に向けたサプライチェーンの再構築を行う「販促品・販売品のサステナブルライン」もその1つです。自社のサステナビリティ経営を検討する際には、ぜひ博報堂グループにご相談ください。

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BIZ GARAGE 編集部

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