最終更新日 2023.12.12

顧客ニーズに1to1で対応 営業DXを加速するLINE WORKS×Salesforce(前編)

今、多くのBtoC企業の営業活動には「変革」が求められています。コロナ禍による非対面営業のニーズの高まりなど、企業を取り巻く環境が大きく変化している中、ビジネスチャットや営業支援(SFA)ツール、顧客管理(CRM)ツールをどう活用し、営業DX(デジタルトランスフォーメーション)を実現していけばいいのでしょうか。

本コラムでは、ビジネスチャットのLINE WORKSとSalesforceを活用した顧客接点の強化、顧客情報の統合・管理・活用における課題と、その解決策として有効なツールの活用について2回に分けて解説します。

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目次

BtoC企業が直面する課題 非対面での「1to1営業」をどう強化するか

多くのBtoC企業は、多様化する消費者ニーズに対応するため、顧客一人ひとりとつながり、嗜好や購買傾向を読み取り、最適な商品・サービスを提案する1to1の営業活動に注力しています。その取り組みの中では、顧客とのつながり=「顧客接点」をどう作り、顧客との関係性を深め、維持していくかが重要になります。

これまで、保険・金融や自動車ディーラー、不動産・住宅販売などの業種では、営業社員が直接、顧客のもとに出向くかたちで顧客接点を作り、対面で新しい商材・サービスの提案や購入後のアフターフォローなどに対応するケースが多くありました。

しかし、最近ではSNSやチャット、電子メールなど企業と個人をつなぐコミュニケーションツールが広く普及したこと、さらにはコロナ禍で人の移動や対面が制限されるようになったことなどから、非対面での顧客接点をどう確保するかが多くのBtoC企業にとって重要な課題となっています。

こうしたニーズの高まりに応えるツールのひとつがビジネスチャットです。ビジネスチャットにもさまざまなツールがありますが、数多くの企業で導入されているツールが「LINE WORKS」です。

BtoC企業の個人顧客にとっての身近なコミュニケーションツールであるLINEの使いやすさをそのままに、ビジネス向けの機能を備えたLINE WORKSを利用することで、顧客のLINEアカウントに対して情報を配信したり、LINEで顧客からの問い合わせを受け付けたりすることができます。LINE WORKSで顧客とつながることで、非対面での「1to1営業」を強化できるのです。

LINE WORKSの活用における課題は営業支援ツールや顧客管理ツールとの連携

ただし、LINE WORKSを導入しているBtoC企業のすべてが、その機能をうまく活用し切れているかといえば、そうとは言い切れません。多くのBtoC企業では、LINE WORKS以外にも、営業支援ツール(SFA)や顧客管理システム(CRM)を導入・活用していますが、それらのツールとLINE WORKSをうまく連携させることが難しいなど、活用における課題も顕在化してきています。

具体的には、LINE WORKSでつながっている顧客の情報やLINE WORKSでの顧客とのやりとりの履歴を、SFAやCRMでの情報と合わせて一元管理することが難しいということです。とりわけ、SFAやCRMとしてSalesforceを導入・活用している場合、LINE WORKSとSalesforceの顧客情報の統合や一元管理に頭を悩ませているBtoC企業は多いようです。

なぜ、LINE WORKSとSalesforceで顧客情報の連携がうまくできないのでしょうか。理由のひとつが、LINE WORKSで使用される顧客の「名前」です。個人でLINEを使用する場合には自分の名前をニックネームなどで登録することが多いでしょう。LINE WORKSでも同じことがあり、顧客情報がニックネームなどで登録されてしまうことがあるのです。

こうなってしまうとLINE WORKSとSalesforceを連携させたとしても、ニックネームで登録されたLINE WORKSの顧客情報と、本名で登録されているSalesforceの商談情報などを含めた顧客情報を「同一顧客の情報」と認識して、統合・管理するのは難しくなってしまいます。

契約手続きやアフターフォローなどで接点を持ったばかりの顧客であれば、営業担当者の記憶の中で「このニックネームを持つアカウントはあの顧客だな」と紐付けができているかもしれません。しかし、その記憶も時間の経過につれてあやふやになることも考えられ、また顧客がニックネームを変える可能性もあり、時間が経てば経つほどLINEアカウントと顧客情報の紐付けは難しくなります。

これによって、例えばLINE WORKS上でやりとりされた有益な情報を、Salesforceで管理されている商談情報などと組み合わせ営業活動に有効活用するといったことができなくなります。それだけにとどまらず、ある一人の顧客に対し継続的なアフターフォロー、アフターサービスを提供し、顧客エンゲージメントを強化するといった中長期的な営業活動を実施することも難しくなってしまいます。

LINE WORKSとSalesforceとの間の顧客情報の「分断」をどう解消するか

つまり、LINE WORKSとSalesforceの顧客情報を統合するには、ニックネームで区分されたLINE WORKSの顧客情報と本名で登録されたSalesforceの顧客情報の「名寄せ」が必須になるということです。

そこで、多くのBtoC企業では、営業担当者がLINE WORKS上のデータとSalesforce上のデータを目視で1件ずつ照合し、LINE WORKSの情報を手作業でSalesforceに転記する、というような作業を行っています。しかし、何十人、何百人と担当する顧客のすべてについてそうした手作業を行うことは非現実的でしょう。

となれば、選択肢は2つ。重要な顧客についてのみ手作業で「名寄せ」して顧客情報を統合するという部分的な対応か、「名寄せ」自体を断念し、LINE WORKSとSalesforceにそれぞれ別個に存在する顧客情報を必要に応じて参照、活用するという対応です。いずれにしても、「顧客情報の分断」が生じてしまいます。

この分断をそのままにしておくと、ある顧客の情報に対して「このお客様は誰だっけ?」といったことにもなりかねません。ある顧客情報に接したときにLINE WORKS上のやりとりとSalesforce上の商談情報が結びつかないと、的確な提案やアプローチができず、営業機会の損失にもつながります。

LINE WORKSの活用が進めば進むほど
顧客情報の「分断」は大きくなる

さらに、この分断は、LINE WORKSの活用が進み、顧客とのコミュニケーションが密になればなるほど大きくなります。LINE WORKSを使って行われた顧客とのやりとりが営業担当者のLINE WORKSにのみ蓄積されてしまい、他の営業社員に共有されることがないのであれば、組織・チームとしての営業力の底上げにはつながりません。

もし担当していた営業社員が退職した場合など、顧客の引き継ぎができなければ組織・チーム・企業としての損失になり、また経営層やマネジメント層にとっても全社や各部門の商談状況把握が難しく、予実管理などに影響が出るでしょう。

■ 顧客接点創出にLINEを活用する際の課題

顧客接点創出にLINEを活用する際の課題それでは、LINE WORKSとSalesforceとをどう連携し、顧客情報の一元化を実現すればいいのでしょうか。もし、LINE WORKS上での顧客とのやりとりなどの情報と、Salesforceで管理している商談情報をシームレスに融合させて活用することができれば、個々の営業社員だけでなく、組織としての営業力を底上げし、企業としての成果を高めることにつながるのです。

後半では、博報堂とワークスモバイルジャパンが提供している「Marsys Sales Tech」に触れながら、LINE WORKSとSalesforceを連携した高度な営業・マーケティング活動について紹介します。

後編「顧客接点をつくり、維持するLINE WORKSとSalesforceの活用で営業DXをどう実現するか」はコチラから

吉田 敬(よしだ たかし)

吉田 敬(よしだ たかし)

株式会社博報堂 マーケティングシステムコンサルティング局 エグゼキューションデザイン部

システムインテグレーター、マーケティング会社を経て、2013年博報堂入社。流通/小売、自動車、消費財メーカー、通信/メディア、保険など様々な業種を対象にデジタルトランスフォーメーション(DX)構想および統合デジタルマーケティング・CRM(顧客情報管理)戦略を策定。戦略実現のためのマーケティング業務プロセス改善、組織設計、BPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)戦略、マーケティングシステム導入、Web/アプリなどのオウンドメディア再構築、データの利活用、PDCAスキーム策定等の実行フェーズにも従事。

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土屋 嘉晃(つちや よしあき)

株式会社博報堂 マーケティングシステムコンサルティング局 ビジネスプラニングディレクター

インターネットサービス・EC事業会社、総合系コンサルティング会社等を経て、2020年博報堂入社。海外自動車メーカーへのSFDC CRM導入およびSFMC導入・運用支援、国内大手住宅機器メーカーむけ顧客接点デジタル化支援、スポーツ振興独立行政法人むけデジタルマーケティングツール導入PoCおよびUX/UI開発の支援、国内大手化学メーカーむけオンラインイイベントBtoBマーケティング導入支援、Salesforce+LINE/LINEWORKSをベースにしたSalesTech自社プロダクト開発・リリース等に従事。

高橋 洸介(たかはし こうすけ)

高橋 洸介(たかはし こうすけ)

株式会社博報堂 マーケティングシステムコンサルティング局 カスタマーサクセス部

WEB制作会社、総合ITベンダーを経て、2021年博報堂入社。WEB/アプリ制作ディレクションやメディアプランニング、SFAやMAの導入から実運用、機械学習による予測モデル構築/活用に至るまで、デジタルマーケティング領域における企画立案から施策実行までを幅広く支援。BtoBマーケティングやCRM領域にも従事。Salesforce 認定 Marketing Cloud コンサルタント資格保有。

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