最終更新日 2024.4.18

EC戦略7つの極意とは?勝利へ導く考え方と成功事例

ECサイトをスムーズに運営し、売上を拡大していくためには、効果的なEC戦略の立案が必要です。しかし、EC戦略ではさまざまな手法が存在するため、「何から取り組めば良いのかわからない」と悩む担当者もいるのではないでしょうか。

そこで今回は、EC戦略の基本を解説するとともに、ECサイトを成功に導く7つの戦略と3つの成功事例を紹介します。 

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目次

ECサイト戦略の基本

まずは、ECサイト運営に欠かせない、基本的な戦略をみていきましょう。すべてを一度に実行するのではなく、自社が着手可能な戦略から少しずつ取り入れることをおすすめします。

売上の考え方(売上=集客×CVR×客単価)

具体的な戦略を解説する前に、ECサイトの一般的な売上の考え方を確認していきましょう。ECサイトの売上は、次の方程式で計算されます。

売上=集客×CVR(成約率)×客単価

集客は「ECサイトを訪れた顧客・ユーザーの数」で、CVRは「購入に至った顧客・ユーザーの割合(成約率)」、そして客単価は「一回の購入金額」のことです。ECサイトでは、これら3つの要素を改善し、掛け合わせることで売上を伸ばしていきます。

競合サイト分析

新規ECサイトの立ち上げや既存のECサイトをリニューアルする際、競合サイトの分析が欠かせません。競合サイトを観察することで、自社で取り扱う商品やサービスを求める顧客、つまり自社のターゲット層を把握できます。

「競合サイトが扱う商品やサービスは何か」「集客対策をどのように講じているか」などを分析することで、自社と他社のECサイトの違いが明確になります。また、自社に必要な工夫や改善点なども明らかになるでしょう。

自社商品やサービスを宣伝する前に、まずは競合サイトを分析し、他社との違いを明確にすることがEC戦略の一歩目です。自社のECサイトのターゲット層を把握できれば、潜在顧客へのアプローチも可能になります。

口コミ・レビューの強化

ECサイトは、誰もが気軽に出品・出店できるものですが、実店舗と比べると顧客からの信頼が得られにくいという特徴があります。気になった商品を手に取ったり、店員へ直接問い合わせたりできないため、顧客は画面に表示された画像や情報などを頼りに商品やサービスの良し悪しを判断します。

そのようなEC事情を踏まえた戦略が、CVR(成約率)を高める口コミやレビューの強化です。

商品の使用感が知りたい」「商品に不満を感じた人はいないだろうか」など、実際に購入して使用したユーザーの意見を知りたい顧客も多く、好意的なレビューを見て購入判断を下すケースも珍しくありません。CVRを向上させるためにも、クーポン配布やポイント付与などのキャンペーンを打ち出し、積極的に口コミやレビュー獲得を図りましょう。

SNS広告・メールマーケティングの実施

既存顧客にアプローチするだけでは、新規顧客の発掘や獲得は困難です。潜在顧客にアプローチすることで自社商品やサービスの認知度を高め、新規顧客の発掘や獲得を試みる必要があります。また、ECサイトの売上アップを実現するためには、リピーターの獲得が欠かせません。

そこで用いられる戦略が、SNS広告やメールマーケティングです。

SNS広告とは、TwitterやInstagramなどのSNSに出稿する広告のことです。無料または低予算で自社と親和性の高い顧客へ情報発信できるため、自社商品やサービスの認知度を効果的に高められます。また、SNSの口コミやレビューを頼りに購入する人も多いため、CVRの向上も期待できるでしょう。

メールマーケティングとは、ECサイトの顧客に対しておすすめ商品やセール情報、購入促進クーポンなどをメルマガで配信する手法です。メルマガ読者それぞれに最適化された情報発信を行うことで、購買意欲を効果的に高め、ECサイトのリピーターを増やします。

 

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ECサイトを勝利へ導く7つの戦略

ECサイトを勝利へと導くためには、以下の7つの戦略が重要です。

  • 競合他社との差別化
  • 複数モールの展開
  • オムニチャネル戦略
  • 越境ECの展開
  • コンテンツマーケティングの充実
  • SNSの活用
  • マーケティングオートメーション実施

ひとつずつ解説していきます。

競合他社との差別化

ECサイトを勝利へと導くためには競合他社との差別化が欠かせません。

例えば、以下4点のポイントで差別化を図れるかを考えてみましょう。

  • 価格
  • カスタマーエクスペリエンス
  • 商品ラインナップ
  • 他のECサイトでは手に入らない特別感

差別化に取り組むときは、既に大手企業や大手ECサイトが独占している市場で、同じような商品やサービスを取り扱わないことです。自社のECサイトの売上をアップさせるには、自社商品のオリジナリティをアピールし、自社で買うメリットを顧客に感じてもらうことが重要です。

複数モールの展開

ECサイトを勝利へと導くためには、大きく複数モールの展開も重要です。

ECサイトは、以下の2種類に分けられます。

  • モール型EC:複数のショップが出店するECサイト(Amazonや楽天など)
  • 自社EC:自社独自で運用するECサイト

自社ECとモール型ECの両方で事業展開することは、EC戦略において有効な手法のひとつです。モール型ECには、その商圏で買い物をするユーザーがすでにたくさん存在するため、低コストで新しいユーザーにリーチ・販売できるといったメリットがあります。

自社ECでは、ECサイトを自社でデザインできるなど、カスタマイズ性が高いです。また、訪問した顧客に対して細かく分析でき、必要な施策もすぐに打てます。

モール型ECと自社ECの両方を活用すれば、幅広い顧客層を取り込むことができます。モール型ECを導入するときは、初期費用やランニングコストがどのくらい発生するか、費用対効果を確認したうえで検討していきましょう。

オムニチャネル戦略を練る

ECサイトを勝利へと導くためには、オムニチャネル戦略も練る必要があります。

オムニチャネル戦略とは、ECサイトだけでなく、実店舗やアプリ、SNSなど複数のチャネル(販売経路)を連携させ、顧客との接点を増やす戦略のことです。

EC戦略01

例えば、ECサイトで購入した商品を実店舗で受け取れたり、実店舗で取扱いのない商品をECサイトで購入できたりする施策が、オムニチャネル戦略に該当します。

オムニチャネル戦略で、複数のチャネルから商品やサービスを購入できたり、情報を得たりできれば、顧客満足度が高まりリピーターの増加も期待できるでしょう。

ただし、オムニチャネル戦略では、ECサイトと各チャネルのデータの一元管理が欠かせません。導入から運営までに時間がかかる点を、あらかじめ認識しておきましょう。

越境ECの展開

ECサイトを勝利へと導くためには、越境ECの展開も重要です。

越境ECとは、日本国内から海外へ向けて商品を販売するEC事業のことです。

越境ECを活用すれば、実店舗を海外に出店しなくとも、低コストかつ低リスクで海外顧客に向けて自社の商品やサービスをアピールできます。既に実店舗がある場合は、インバウンド客を自社店舗へ誘致する効果も期待できるでしょう。

越境ECを検討している場合は、ターゲットである国の顧客集客力に強いモールへの出店をおすすめします。

コンテンツマーケティングの充実

ECサイトを勝利へと導くためには、コンテンツマーケティングの充実を図ることも大切です。

コンテンツマーケティングとは、顧客に対して価値のある内容のコンテンツを発信することで、自社サイトへユーザーを集客する手法です。具体例として、商品紹介記事・商品レビューや商品比較記事などが挙げられます。

コンテンツマーケティングの一つである、検索エンジンからECサイトへの流入増加を目指す「SEO施策」は、重要度の高い施策で取り組む企業が増えています。

コンテンツマーケティングは導入してから効果が出るまでに時間がかかるため、長期的な視点で施策に取り組む必要がある点を覚えておきましょう。

SNS活用

ECサイトを勝利へと導くためには、SNS活用もおすすめです。

近年、気になる商品の口コミやレビューを、SNS上でチェックする人が増えているほど、SNSでの積極的な活用がみられており、EC事業の成功に欠かせないツールの一つです。

SNSは情報拡散が容易であることも特徴の一つです。顧客が商品やサービスの情報を発信してくれることも多く、自社ブランドの知名度をアップしつつ、信用度を高めていける、といったメリットがあります。

多くのSNSでは無料か低価格でアカウントを作成できるため、自社はコストをかけずにより多くの顧客に情報を発信できます。SNSの活用は自社利益に直結するわけではありませんが、顧客との接点を増やし、商品やサービスの知名度を高めるうえで有効な戦略といえます。

マーケティングオートメーション実施

ECサイトを勝利へと導くためには、マーケティングオートメーションも実施しましょう。

マーケティングオートメーションとは、Webマーケティングのプロセスの一部を自動化することです。

EC戦略02

例えば、サイト上の行動履歴に合わせてアプリやメルマガの内容を変える、といったものが挙げられます。マーケティングオートメーションの実施により、顧客ごとに適した施策を打ち出せるため、リソースを割かずに効果的なEC戦略を実現できます。

 

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ECサイト戦略に必要な6ステップ

ここからは、ECサイト戦略に必要な6ステップを紹介します。

  1. 目標設定
  2. スケジュール策定
  3. 現状分析
  4. 戦略立案
  5. 実施
  6. 評価・改善

それでは、1つずつ確認していきましょう。

1.目標設定

1つ目のステップは、目標設定です。

目標を設定することにより、ECサイトが目指すべき成果や、達成すべき具体的な数値目標が定義でき、チーム全体の取り組みが統一され、各メンバーが同じ目標に向かって努力できるようになります。

目標を具体的に定めることで、実行段階での進捗管理や、戦略の調整が必要になった場合の判断基準を明確にできます。

目標設定では、戦略全体の方向性や取り組むべき課題を明確にしましょう。

2.スケジュール策定

2つ目のステップは、スケジュール策定です。

スケジュール策定では、設定した目標に沿って、全体の進行スケジュールを決めていきます。まず、現状分析を行う期間を設定し、市場のニーズや競合の動向、自社の強みと弱みを把握します。その上で、戦略の具体的な実施時期、キャンペーンやプロモーションのタイミング、評価・見直しを行う時期などを明確にしていきます。

スケジュールを策定することで、プロジェクトの進行を計画的に管理し、各フェーズの成果を確実に測定することが可能です。効率的なスケジュール管理により、EC戦略を成功に導くことができるでしょう。

3.現状分析

3つ目のステップは、現状分析です。

現状分析では、自社のECサイトについて、現在どのような状況か、市場内での立ち位置、競合との比較、顧客のニーズや行動パターンを深く理解していきます。

具体的には、サイトのトラフィック分析、顧客の購入履歴やレビューの分析、競合のサイトや販売戦略の分析を行い、自社の強みと弱み、機会と脅威を明確にし、それを基に戦略の方向性を決定します。

4.戦略立案

4つ目のステップは、戦略立案です。

ECサイトの戦略立案では、売上高、サイトの訪問者数、コンバージョン率、カスタマーエンゲージメントの指標など、達成したい目標を数値化します。数値目標を明確にすることで、戦略の具体的な方向性が定まり、目指すべき成果が可視化されます。

たとえば、売上目標を前年比で10%増加させる、サイト訪問者数を月間で20%増やすなど、具体的な数値を設定すれば、目標を達成するために必要な施策を検討し、ターゲット顧客の特定、商品のプロモーション計画、ウェブサイトの改善点など、戦略の詳細を計画できるでしょう。

数値目標を基に戦略を立案することで、実行段階での成果測定が容易になり、必要に応じて戦略の修正・調整が可能となります。

5.実施

5つ目のステップは、実施です。

設定した目標・計画に基づいて、具体的なアクションを実施していきます。戦略を着実に実行し、目標達成に向けて取り組んでいきます。

進捗管理を徹底することはもちろん、定期的に結果を評価し、必要に応じて計画を修正することも重要です。

計画に基づいて具体的に実施していくことは、EC戦略を成功に導くための決定的なステップであり、柔軟な対応と持続的な努力が求められます。

6.評価・改善

6つ目のステップは、評価・改善です。

実施結果が目標に対してどうだったのかを評価して改善を繰り返していきます。具体的には売上高・訪問者数・コンバージョン率などのKPI(重要業績評価指標)を用いて、実施した施策の効果を分析し、目標に対して成果がどの程度達成されたか、またどの施策が特に効果的だったか、あるいは期待に満たなかったかを明らかにしていきます。

得られた結果を基に、戦略の修正や次のステップへの改善策を検討し、必要な調整を加えていきます。評価と改善のサイクルを繰り返すことで、ECサイトの成果を最大化し、目標達成に向けた戦略をより磨き上げていくことが可能です。

 

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ECサイト戦略の成功事例3選

ECサイト戦略の成功事例を3つ紹介します。

  • レビュー投稿を充実させリピート率を向上させたA社
  • SNS広告で集客力が向上したB社
  • 潜在顧客にアプローチしてCVRを向上させたC社

それでは、1つずつ確認していきましょう。

レビュー投稿を充実させリピート率を向上させたA社

アパレル販売会社のA社は、実店舗とアプリ・ECサイトを活用したオムニチャネル戦略に成功しました。

ECサイト上で商品レビュー、コーディネートの投稿や閲覧を可能としたことで、利用者は購入前に商品の評判や、コーディネートをあらかじめ確認できるようになり、購入後のミスマッチを防いだのです。

また、購入者による口コミやレビュー投稿をサイトに充実させたことで、利用者は商品の感想をもとに購入を決断でき、顧客満足度も向上しました。

SNS広告で集客力が向上したB社

化粧品を販売するB社は、Facebookを活用して集客力アップに成功しました。

商品宣伝はもちろん、スタッフのオフショットや季節ごとの写真を投稿することで、Facebookはさまざまな層の顧客が楽しめる情報発信媒体として機能しています。

同社はFacebook社(現Meta社)から成功例の証として「ベストプラクティス」に選出されるほど、SNSを活用して集客力アップに成功し、商品や自社の知名度を高めることができました。

潜在顧客にアプローチしてCVRを向上させたC社

石けんや化粧品などを中心に生活用品を販売するC社では、潜在顧客にアプローチしてECサイトのCVRを向上することに成功しました。

具体的には、取扱商品に関する情報を複数の姉妹サイトで詳しく紹介したのです。例えば、石けんに関するノウハウや基礎知識などの情報を発信し続けることで、石けんに関心のあるユーザーを姉妹サイトで集客し、自社のECサイトへ誘導することで顧客獲得に繋げました。

姉妹サイトを通じてC社の商品を知らない「潜在顧客」へアプローチし、商品購入の導線を作り出せた成功事例です。

 

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まとめ

EC市場に参入する企業が増えたことで、ECサイトの競争は年々激化しています。ECサイトの戦略を成功させるためには、本記事で紹介した、競合他社との差別化、複数モールの展開、オムニチャネル戦略、越境ECの展開、コンテンツマーケティングの充実、SNSの活用、マーケティングオートメーション実施などが必要となり、専門知識が欠かせません。自社で全て実現しようとすると時間も労力もかかってしまうでしょう。

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