2023.11.21

ECサイトの分析方法とは?売上向上のために見るべき指標や役立つツールを解説

EC事業で成果を出すためには、日々の運用だけでなく、ECサイトの定期的な分析も大切です。ECサイトを分析し正しく現状を把握することで、より大きな成果を出すための施策を立てられるようになります。

本記事ではECサイト分析で押さえたおきたいポイントや、おすすめのツールなどを紹介していきます。

目次

ECサイト分析の目的

ECサイトの分析目的は、ECサイトの改善を通じた売上アップです。ECサイトに存在する課題を解決し、コンバージョン率や客単価の向上などを通じて売上げアップを図ります。

売上アップが目的であることを忘れ、サイト分析自体を目的にしてしまうと、分析だけで満足してしまい、分析結果をサイトの改善に活かせません。ECサイトの分析はあくまで手段であり、最終的な目的は売上アップという点を認識しておきましょう。

ECサイト分析の手順

ECサイト分析の基本的な流れは、以下のとおりです。

  •  KPIの設定
  • アクセス解析の実施
  • データ分析
  • 改善案の検討・施策の実施
  • PDCAサイクルの実行

ステップごとに詳しく解説していきます。

KPIの設定

まずはKPIの設定が必要です。KPIは「Key Performance Indicator」の略で、日本語では「重要業績評価指標」と表現されます。最終的なゴールに向けて、プロセスの達成具合のチェックや評価用に定める指標です。

ECサイト分析の最終的な目的は、売上の向上です。ただし、ゴールまでの間にチェックすべき指標がないと、「何を分析すればよいか」「分析結果をどう活かせばよいか」といった点が判断できません。正確で効果的な分析を実施するためには、何を分析するのかを定めるKPIの設定が不可欠です。

なお、一般的なWebサイトにおいても、分析の際にKPIの設定が必要です。ただし、ECサイトのKPIは、ECサイトならではのポイントがあります。ECサイトにおけるKPIの設定方法については、のちほど詳しく解説します。

アクセス解析の実施

続いてはアクセス解析の実施です。ECサイトの分析では、アクセスデータを集める必要があります。アクセス解析はツールを使うのが一般的です。

単純にデータを集めるだけでなく、その後の分析に役立つようセグメントを作成・分類する作業が求められます。具体的には、以下のような情報整理です。

  •  新規か再訪か:新規でのアクセスか、過去にアクセス歴がある人の再訪かという基準。
    アクセス履歴の有無によって、実施する施策が異なる
  • 使用デバイス:PC・スマートフォン・タブレットなど
  • 参照元サイト:どのサイトから自社ECサイトに流入してきたか

一言でアクセス解析といっても、収集できるデータはさまざまです。やみくもにデータを集めるのは非効率であるため、必要なデータ内容や収集すべき情報を明確にしたうえでアクセス解析を実施するよう心がけましょう。

データ分析

データが十分に揃ったら、具体的なデータ分析に入ります。

データ分析では、アクセス解析で集めたデータだけでなく、売上などの実績も活用します。情報を組み合わせれば、サイト訪問者が購入に至る割合や、客単価などの計算が可能です。自社ECサイトの現状と過去の比較、または競合との比較も重要なポイント。データ分析の段階でKPIを活用し、自社ECサイトの状態を明らかにしましょう。

改善案の検討・施策の実施

分析結果が出たあとは、ECサイトに関する仮説設定が必要です。何が課題であるか、KPI改善のために必要なアクションは何かなどを検討していきます。

適切な仮説設定を図るには、顧客行動への注視が必要です。「購入直前でサイトから離脱する人が多い」「一部のページだけ滞在時間が長い」といった顧客行動から、顧客が求めているものを探ります。

仮説設定が終われば、いよいよ改善策の実施です。売上アップの妨げとなっている要因の解決へ向け、アクションを取っていきます。一言で改善案・施策といっても、内容によってコストや時間、難易度はさまざまです。自社が割けるリソースや改善の優先順位などを考慮し、そのうえで実施する施策を選んでいきましょう。

PDCAサイクルを回す

改善策を実施しても、必ずしも成果が出るとは限りません。そのため、継続的な効果検証を図るプロセスである「PDCAサイクル」を回すことが大切です。PDCAサイクルとは、Plan(計画)・Do(実行)・Check(評価)・Action(改善)の頭文字を組み合わせた用語です。

効果検証を実施しなければ、改善策の効果が出ていないことにすら気づかず、無駄な作業を続けてしまう恐れがあります。また、一時的に効果が出ても、時代や状況の変化によって施策が通用しなくなる可能性もゼロではありません。PDCAサイクルを回し、必要に応じて改善や修正を実施できる体制を作ることでECサイトの成長を図りましょう。

ECサイト分析で確認すべきKPI

ECサイト分析で確認すべきKPIには、一般的なWebサイトと共通する内容もあれば、ECサイトならではの点も多く存在します。ECサイト分析で確認したいKPIの主な項目は以下のとおりです。

  • 売上・利益
  • PV数・セッション数
  • CVR
  • 客単価
  • 直帰率
  • 離脱率
  • リピート率・使用デバイス・流入元

KPIについて、それぞれ詳しく解説します。

売上・利益

売上・利益は、ECサイトならではのKPIです。
売上はECサイトの規模を示すうえで、もっともわかりやすい指標といえます。売上は以下の計算式によって算出可能です。

売上=訪問者数(セッション数)×CVR(コンバージョン率)×客単価

売上に関係する3要素のうち、どこを改善するかによって実施すべき施策内容は異なります。例えば、訪問者数が多くてもCVRが低くて売上が小さい場合には、CVRを高める施策が必要です。訪問者数やCVRが十分であれば、今度は客単価を高める施策が求められます。

売上だけでなく、利益も大切な要素です。利益は以下の計算式で算出できます。

利益=売上-費用

いくら売上が大きくても、費用が大きく利益が小さい状態では、十分な儲けが出ているとはいえません。適切にECサイトを運営できているか、経費をかけすぎていないかといった点を分析するためにも、利益チェックも忘れず行いましょう。

PV数・セッション数

PV数・セッション数はECサイトに限らず、一般的なWebサイト分析でも重要な要素です。
PV数は、自社サイト内のページが閲覧された回数です。1人のユーザーがサイト内のページを5つ閲覧した場合、PV数は5とカウントされます。PV数が大きいほど、多くのページを閲覧されている状態です。

一方でセッション数は、ユーザーが自社サイトを訪問した数です。「訪問者数」とも表現されます。1人のユーザーがサイト内のページを5つ閲覧した場合でも、セッション数は1となります。

PV/セッション数

PV/セッション数のイメージ

PV数とセッション数はまったく異なるデータであるため、それぞれの言葉の正しい理解が大切です。

CVR

CVR(コンバージョン率)は、訪問ユーザーの中でアクションを起こした人の割合を示す数値です。ECサイトの場合、以下の計算式で求められます。

CVR=購入者数/訪問者数×100

CVRは売上を左右する要因のひとつ。自社ECサイトに訪問するユーザーの数が多くても、ほとんどが購入に至らずCVRが低い状態では、大きな売上にはつながりません。CVRが低ければ、ユーザーに購入を促す何らかの施策・改善が必要です。

客単価

客単価は、顧客1人が一度の購入で支払う金額の平均です。客単価が大きいほど、一度の購入で大きな金額が支払われていることになります。客単価を求める計算式は以下のとおりです。

客単価=売上高/売上数

客単価の改善施策は難易度が高いため、最初に取り組む施策には適しません。訪問者数とCVRの両方が高い状態になってから、客単価アップへの施策を検討してみましょう。

直帰率

直帰率とは、サイトを訪れたユーザーがほかのページに移動せず、1ページのみで離脱した割合を意味します。一般的なWebサイトでも重要な指標のひとつです。

直帰率が高い場合、アクセスしたユーザーを取りこぼしている可能性があります。ユーザーが最初に訪問するページ(ランディングページ)に問題がある、導線がうまく作れていないといった可能性があるため、サイト内の改善が必要です。

離脱率

離脱率は、サイトを訪問したユーザーが離脱直前に見たページである割合です。例えば、サイト内でA→B→Cという順番でページを閲覧し、Cのあとに別ページへ移動せず離脱した場合、Cの離脱率が加算されます。離脱率はユーザーがどこで離脱しているのか、コンバージョンにつながらないページはどこなのかを判断する上で重要な要素です。

離脱・直帰

離脱・直帰のイメージ

 

リピート率・使用デバイス・流入元

リピート率・使用デバイス・流入元は、いずれもWebサイト全体で重要な要素です。それぞれの意味は以下のとおりです。

  • リピート率:過去に訪問したユーザーが再び訪問した割合。ECサイトの場合、過去に購入履歴のあるユーザーが再び購入した割合を指すケースもある
  • 使用デバイス:PC・スマートフォン・タブレットなど
  • 流入元:検索エンジンや外部サイト、ブックマークなど、どこからサイトにアクセスしたか

リピート率・使用デバイス・流入元は、ユーザーの特質を示すポイントです。効果的な施策を考えるために欠かさずチェックしておきましょう。

ECサイト分析に役立つツール

ECサイトに蓄積されたデータを自力で集計・分析するのは困難です。そのため、ECサイト分析は外部のツールを活用するのが一般的です。

ECサイト分析に役立つ代表的なツールは、次の2つです。

  • アクセス解析ツール
  • ヒートマップ

それぞれ解説していきます。

アクセス解析ツール

アクセス解析ツールは、アクセスに関する情報を分析するツールです。分析できる内容の具体例としては、以下の項目が挙げられます。

  • PV数
  • セッション数
  • 属性(性別、年代、職業など)
  • アクセスの多いページ
  • 流入元
  • 直帰率
  • 離脱率
  • 滞在時間
  • 使用デバイス

有料ツールもありますが、詳細なアクセス解析のできる無料ツールとして有名なのが「Googleアナリティクス」です。上記のデータを分析できるだけでなく、リアルタイムで訪問者数をチェックしたり、サイト内のユーザーの動きを確認したりすることが可能です。

アクセス解析ツールを活用して、効率的なECサイト分析を試みましょう。

ヒートマップ

ヒートマップとは、ページ内におけるユーザーの行動を可視化するツールです。ユーザーがページのどこまでを読んだのか、どこで離脱するケースが多いのかを視覚的に把握できます。また、ページ内で多くクリックされた箇所の可視化も可能です。

ページ内でユーザーがどのような動きをしているのかを把握できれば、改善すべきポイントがイメージしやすくなります。自社サイトの課題に対する仮説を立てたり、改善案を検討したりするのに役立つツールです。

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ECサイト分析におけるポイントのまとめ

ECサイトの分析は、売上アップを実現するうえで欠かせない要素のひとつです。より効果的にECサイトを分析するためには、やみくもに分析を進めるのではなく、効率的な分析やポイントを押さえた仮説設定を展開していく必要があります。

自社単独での実施に不安を抱えている場合は、外部サービスの活用を検討するのも一案です。効率的かつ効果的にECサイト分析を展開し、自社のECサイトを成長させていきましょう。

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