2024.05.28

ウェビナーレポート|クロージングセッション CXの今まで、と、これから

2024年3月12~15日、博報堂による生活者発想の「トータルなエクスペリエンス」である顧客体験事例を紹介した大型ウェビナーを実施しました。4日間に渡り最新のCX事例を紹介し、多くの方にご視聴いただきましたので、その模様をお伝えします。

CX(顧客体験)向上に課題がある方へ 

「HAKUHODO CX FORCE」では、生活者価値を起点に、組織・人材・事業戦略領域から、商品・サービス開発、販促・店舗・CRM・アフターサービスに至るまでのバリューチェーン全体のオンラインとオフラインを統合し、すべてのフェーズで優れた顧客体験を提供することができます。企業のビジネス成長を支援し、「長く愛され続ける」ブランド育成につなげ、企業の新たな価値を創出します。⇒ご相談はこちらから

 

目次

クロージングセッション  CXの今まで、と、これから

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スピーカー:青木 雅人×嶋 浩一郎×茂呂 譲治

茂呂 「HAKUHODO CX WEEK 2024」最終日クロージングセッションをお送りしたいと思います。

本日は、 HAKUHODO DX_UNITEDのリーダーで執行役員の青木 雅人、博報堂ケトルのクリエイティブディレクターで執行役員の嶋 浩一郎、そしてHAKUHODO CX FORCEのリーダーを務めています茂呂、この3人で「CXの今まで、と、これから」、そこにおける私たち博報堂グループの存在意義について語り合いたいと思います。

バリューチェーンという全体像を見たときに、商品開発、事業領域であるアッパー領域、博報堂が本来得意とするマーケティングコミュニケーションのミドル領域、そしてCRMなどのロワー領域という具合に、博報堂グループが関わる領域は広がってきています。

では、なぜ博報堂グループはここに向き合う必要があるのか、あるいは対応できているのかについてご意見をお聞きしたいと思います。

青木 その質問に答える前にまず、デジタル化の進展ということがどう変わってきているのかについてお話したいと思います。少し前まで進んできたデジタル化というのは、スマホやPCを中心とした情報のデジタル化でした。ところが、ここ数年進んできているのは、生活シーン全体のデジタル化です。

つまり店舗がインターフェースになっていく、車がインターフェースになっていく、街全体がインターフェースになっていく。そんなふうに企業と生活者の接点がデジタル化されていくことで、生活者とのインタラクション、コミュニケーションが創られるようになってきました。

生活者とのインターフェースが広がっていくということは、私たち博報堂グループのように、コミュニケーションで企業と生活者の間を繋ぎながらインタラクションを作って生活者の心を動かしてきた、あるいは社会全体を動かしてきた企業の関わる領域が、広告という世界だけではなく、いろんな形で広がってきているわけです。

その結果、博報堂グループにとって、インタラクションの設計をして生活者を動かす領域が、バリューチェーン全体に広がってきていると言えます。

茂呂 つまりインタラクションができて、インターフェースができてというところに仕組みはあるんだけれども、仕組みだけではダメで、いかに生活者の心を動かしていくかということが大事になっていくというふうにも理解できますよね。このあたり、嶋さんの得意領域だと思いますが。

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 自動販売機がデジタル化してインターフェースになる。車がデジタル化してインターフェースになる。家がデジタル化してインターフェースになる。家電がデジタル化してインターフェースになる。

そうなると、たとえば、車を運転している人がどう思って運転しているのかとか、冷蔵庫の前に立つ人がどういう気持ちで冷蔵庫の前に立っているのかとか、インターフェースの前に立つ生活者の気持ちをどう捉えるのかを考える時には、クリエイティブな視点がすごく大事になってくると思います。それがないと、新しい体験や新しいサービスは生まれてこないわけですから。

こういった技術を使うと生活者の声が聞けるようになるとか、データが集まるとか、そういう提案を受けている企業の方は結構いると思いますが、肝心のインタラクションの中身の設計ができていないと、物理的なインターフェースにとどまって、結果的に全く駆動できないものになってしまいます。

その意味でも、生活者の心を動かして、バリューチェーン全体を動かしていくことができるのが、私たち博報堂グループの強みではないでしょうか。

博報堂は企業フィロソフィーとして、消費者ではなく生活者として人々のことを捉えてきました。ですから、その人が物を買う瞬間をどうするかということだけじゃなくて、どんなふうに生活しているのかを考えることが身についているのです。

たとえば、アイスクリームを購入するということをとらえても、コンビニエンスストアもデジタル化しているし、アイスクリームを入れておく冷蔵庫もデジタル化しているし、食べる場所である家もデジタル化しているというふうに、アイスクリームひとつとっても、生活者を取り巻くシーンはいろいろあって、同時に心の動きや感情のドラマがあるわけです。

ですから、様々なシーンで、生活者に対して働きかけられるようになっているということが、今のバリューチェーンの一つの形なのではないかなと思います。

茂呂 なるほど、よくわかりました。では、次に2つ目の質問に移りますが、そのようにバリューチェーン全体で様々な領域に向き合うことを通じて、博報堂グループはどのように企業の成長に貢献できるのでしょうか。

青木 バリューチェーン全体に私たちが貢献できる領域が広がってきているというお話をしましたが、たとえば、商品やサービスを作るということを考えたときに、今までも企業の皆さんは取り組んできたわけですよね。

でも、これからは、単にモノを作るだけではダメで、モノからサービスを生み出したり、そのサービスの中に生活者とつながる仕組みを考えていったりしなければならない。実際、そうした課題を抱えている企業は増えていると思います。

そうした課題にこそ、私たち博報堂グループがお手伝いできることがたくさんあると思います。先ほどから何度も出ていますが、つながり続ける仕組みを作ることや、インターフェースそのものを設計することや、生活者とのインタラクションをご提案できるのが博報堂グループの強みです。

商品開発やサービス開発からCRMまで、企業のバリューチェーン全体を駆動させることができ、そのことが事業成長にもつながっていく。その一連に並走できるのも私たちです。

茂呂 今、「つながる」というキーワードが出てきましたが、従来のやり方とは違う、「つながる」ための進化した手口が今、必要になってきているというふうにも言えると思います。この点に関して、嶋さんはどのように考えていますか。

 まさに今は、生活者と企業が直接ダイレクトに24時間常時接続する時代だと思います。そうなったことで、今までとは違う、“なるほど!その手があったか!”というやり方で事業成長を支援することが、私たち博報堂グループにもできるようになっていると思います。

たとえば直近、博報堂が手掛けたドン・キホーテさんの事業支援の業務ですが、顧客であるドン・キホーテのファンの皆さんと一緒になって“ダメ出しの殿堂”という企画をやらせていただきました。

要は、商品改善のアイディアを募ったわけですが、5万件もの応募があり、しかも、ドン・キホーテさんはそのうち70点ものアイディアを“情熱価格”というブランド名で商品化したのです。このケースはまさに、クリエイティブなアイディアで事業成長へ貢献したケースだと思います。

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青木 もはや流通業の得意先ではなくて、情報産業のようになっているとも捉えられますよね。しかも、こうしたことは今、様々な業種、企業で起こっていることだと思います。

繰り返しになりますが、自動車を売るのではなくて、モビリティサービスを売る。家を売るだけではなくて、暮らし方や暮らしに役立つサービスを売る。しかもお客さんのデータを(同意を取りながら)取得して、サービス開発に繋げていく。そんな仕事が今、すごく出てきていると思います。

茂呂 最後に、今回のテーマであるCX(顧客創造)という領域における展望や思いを伺いたいと思いますが、まずは私の方からお話させてください。

この4日間を通じてキーワードがたくさん出てきていたと思いますが、オープニングで私の方からもお話したとおり、大事なのは仕組みだけじゃなくて、顧客、未顧客、従業員も含めた生活者全体の心を動かす(愛される)ということ。そこに私たち博報堂グループはこだわり続けたいと思います。

同時にそれをやることで、クライアント企業の成長、ビジネスの成長にも繋げていく。まさにその「愛される」と「成長」を一緒に作っていくことが、博報堂グループが目指すCXです。そのためのアセットや人材も豊富に揃っているので、ぜひお声がけいただきたいと思います。

 今、「愛される」という言葉が出てきましたが、そこは本当に大事だと思っています。デジタル化というのは、最適化、最速化、効率化と捉えられる側面がありますが、それは「愛される」ということとはちょっと違うと思っています。つまり、最適化して便利になることが「愛される」ということにはつながらないということです。

やっぱり、生活者の気持ちに働きかけることが重要で、それがないと愛も生まれないと思います。ですから、単に便利になるのではなくて、“これ面白い!新しい!”と思ってもらうことが、これからのCXだと思います。

青木 「愛される」と「心を動かす」、そこにどうやってテクノロジーやデータを組み合わせてできるのか。実はこの両方ができる企業はそんなに多くないと思います。博報堂グループが目指すのは、その両輪の実現です。

その意味で、この一年は、大きな変化の一年になると思っています。たとえば生成AIAIにどんなデータを読み込ませるかで、全然、活用の仕方が変わってきます。そこに生活者のデータをどう活用できるのか。こうしたこともインタラクションの設計や、「愛される」ということを設計することに繋がっていきます。

また、これからはサードパーティCookieが使えなくなるから、企業は自社でファーストパーティデータを集めようとしています。そうなると、多様なバリューチェーンの中にどうやってデータを組み込んでいくかという取り組みが、様々な企業で必要になります。

しかも、こうした取り組みは、一部の大企業の話ではなくて、多分、この一年の間に多かれ少なかれ、あらゆる業種に生じてくる可能性があります。

テクノロジーの動きが大きければ大きいほど、生活者の心を動かす領域も増えていきます。それゆえ、テクノロジーと「愛される」ということは違うベクトルではないわけです。

CXも、データドリブンであると同時に心を動かす、そんなビジネスの舞台がいっぱい広がってきています。私たち博報堂グループも、企業の皆さまの新しい挑戦にぜひ、ご一緒させていただきたいと思います。

CX(顧客体験)向上に課題がある方へ 

「HAKUHODO CX FORCE」では、生活者価値を起点に、組織・人材・事業戦略領域から、商品・サービス開発、販促・店舗・CRM・アフターサービスに至るまでのバリューチェーン全体のオンラインとオフラインを統合し、すべてのフェーズで優れた顧客体験を提供することができます。企業のビジネス成長を支援し、「長く愛され続ける」ブランド育成につなげ、企業の新たな価値を創出します。⇒ご相談はこちらから

プロフィール

(役職肩書は2024年3月時点のものです)

青木 雅人

株式会社博報堂/
株式会社博報堂DYホールディングス/
株式会社博報堂DYメディアパートナーズ

執行役員

1989年博報堂入社。マーケティング・ブランディング・買物研究・データ/デジタルマーケティング領域の研究開発等の業務に従事。博報堂「マーケティングセンターチームリーダー」「買物研究所所長」「研究開発局長」、博報堂DYホールディングス「マーケティング・テクノロジー・センター室長」を経て、2021年より現職。

嶋 浩一郎

株式会社博報堂
執行役員
株式会社博報堂ケトル
取締役/クリエイティブディレクター

1968年東京都生まれ。1993年博報堂入社。コーポレート・コミュニケーション局で企業のPR活動に携わる。2001年朝日新聞社に出向。スターバックスコーヒーなどで販売された若者向け新聞「SEVEN」編集ディレクター。2002年から2004年に博報堂刊『広告』編集長を務める。2004年「本屋大賞」立ち上げに参画。現在NPO本屋大賞実行委員会理事。2006年既存の手法にとらわれないコミュニケーションを実施する「博報堂ケトル」を設立。カルチャー誌『ケトル』の編集長、エリアニュースサイト「赤坂経済新聞」編集長などメディアコンテンツ制作にも積極的に関わる。2012年東京下北沢に内沼晋太郎との共同事業として本屋B&Bを開業。

茂呂 譲治

株式会社博報堂
生活者エクスペリエンスクリエイティブ局
局長/エグゼクティブ・クリエイティブディレクター 
HAKUDHO CX FORCE リーダー

2011年、博報堂入社。前職では、デジタル起点にマス~店頭までの統合プランニングに従事。ソーシャルメディア時代の行動モデル「SIPS」を開発。現在は、 クリエイティブ組織を率いながら、自らもデジタル時代の企業変革〜顧客体験の実装までを担う。「カンヌ」「ADFEST」「Globe賞」グランプリ他受賞。「ad-tech Tokyo」「Advertising Week Asia」「宣伝会議フォーラム」「IT WEEK」等で、講演。ad-tech2017では、「データ×クリエイティブ」 テーマでモデレーターをつとめ、セッション1位を獲得。

 

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BIZ GARAGE 編集部

ビジネスをとりまく環境の大きな変化により、最適な手立てを見つけることが求められる現代。
BIZ GARAGEのコラムでは、生活者の心を動かし、ビジネスを動かすために、博報堂グループのソリューションや取り組みのご紹介、新しいビジネスの潮流などをわかりやすく解説しています。

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