2026.09.09

「バーチャル生活者」3つの活用メリットと、接客を進化させる「バーチャル販売員」|ウェビナーレポート(後編)

2025年2月27日と4月24日、生成AI活用をテーマにウェビナーを実施しました。博報堂は長年「生活者発想」を大事にしてきました。前編では、生成AIをイマジネーションパートナーとして活用し、あらゆる生活者を深く理解するための「バーチャル生活者」を生み出すアプローチについてお伝えしました。

後編となる本記事では、ウェビナーの内容から、具体的に「バーチャル生活者」を活用することで得られるAIならではの3つのメリットを解説します。さらに、そのノウハウを応用し、生活者へのコミュニケーションを生成AIで実行する「バーチャル販売員」についても詳しくご紹介。リアルとバーチャルが同じ人格で接客・対話する、ハイブリッドな接客UXの可能性に迫ります。

前編はこちら
⇒生活者発想をAIに宿す 博報堂が挑む「バーチャル生活者」のアプローチ|ウェビナーレポ―ト(前編)

顧客体験を改善したい方へ
博報堂では、生成AIで生活者発想を支援するサービスプロトタイプ『バーチャル生活者』を提供しています。AIを生活者の声を聴くイマジネーション・パートナーとして活用します。ご関心のある方は、お気軽にお問い合わせください。

目次

バーチャル生活者を活用する3つのメリット

入江 では、そうして作られた「バーチャル生活者」をどんなふうに活用すれば、単なる検索とは違う発見が得られるのか? その観点からAIならではの特徴を考えてみましょう。

AIには忖度がない

sol_id108_05まず、「AIには忖度がない」ということが挙げられます。つまり、偏見や従来の知見にとらわれずに、あらゆる生活者に向きあうことができるのです。

例えば、あなたが辣腕の営業部長だと想定して、育休復帰直後の女性スタッフの本音を聞き出すという状況を考えてみると、その女性がどんな働き方をしたいのか、どんなことが嫌なのか、どんな悩みを抱えているのかといった、現実ではなかなか難しい質問も、AIを活用することで可能になります。

他にも、“行政の担当者”-“親と二人暮らしで老々介護の60代”とか、“コンビニの店長”- “20代ベトナム人のバイトスタッフ”、“製薬会社の担当者”-“体調に不安を抱える人”など、相手から本音を聞き出しにくい時に、AIを活用すれば、リアリティのある答えを引き出し、課題の解決に役立てることができます

バーチャル生活者と対話する時に、“昨日どこへ行き、誰と会って、どんな話をしたのか。その時にどんな気持ちになったのか?”という、24時間のカスタマージャーニーのようなことを深堀りして質問すると、その生活者の解像度がさらに上がります。

また、どんなソーシャルアカウントを見ているかとか、どんなWEBサイトを見ているのかとか、質問をいろいろ工夫することで、イマジネーションパートナーとして、さらに発見に富んだ情報を与えてくれるようになります。

AIは感情的にならない

sol_id108_06第二の特徴は、「AIは感情的にならない」という点です。つまり、良くも悪くも感情を持って生活を営む人間と違い、AIは感情的にならずに、建設的な対話ができるわけです。

例えば“腕にタトゥーを入れたい思春期の女の子”-“タトゥーに嫌悪感を持つ父親”とか、“営業成績を上げたい営業部長”-“離職率を下げたい人事部長”のように、利害や立場が異なることで、リアルではなかなか合意形成ができないような状況を打開するツールとして、AIは有効に働くのではないでしょうか。

バーチャル生活者に、一回でパーフェクトな回答を期待するのは難しいので、繰り返し同じ質問をして、気になったワードややり取りを深堀ってみると、新しい発見が得られることも多いと思います。

また、対話を重ねても、期待したような答えが得られないことも想定されます。そんな時は、年齢を変えたり、別の職業を想定したり、家族の関係性を付加してみたり、イマジネーションを膨らませながら造形していくと、可能性が広がっていくでしょう。

AIは時間を超えられる

sol_id108_07AI活用の3番目のメリットは、「AIは時間を超えられる」ということです。これは実際に評価が高く、かつニーズも多い特徴です。つまり、SFのように未来の顧客や過去の人間と対話できるということです。

例えばあなたがソフトウェアマーケティング担当である決済アプリを開発したと想定すると、そのアプリのダウンロード直前のユーザーと対話できるわけです。ダウンロードすべきか否か決心できないでいるユーザーに、躊躇する理由を聞いたり、ダウンロードすることにしたユーザーに、その決定理由を聞いたり、過去の生活者と対話するという貴重な疑似体験ができます。

同時に、未来の生活者との対話も可能になります。例えば、自動車会社のブランドマネージャーという立場で、一年後に発売される電気自動車の購入者に購入理由を聞くといった、現実には不可能な対話もAIを活用すれば可能になります。そうすることで、気づかなかったユーザーのニーズを知ることができるわけです。

以上のように、バーチャル生活者をイマジネーションパートナーとして活用すれば、あらゆる生活者に向き合えたり、生活者と建設的な対話ができたり、さらには時間を超えることも可能になります。

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「バーチャル販売員」 エグゼキューションパートナーとしての生成AIの活用

入江 ここまで、生活者発想をアップデートするイマジネーションパートナーとしてバーチャル生活者を活用する狙いと可能性についてお話させていただきましたが、私たちはさらに進んで、「エグゼキューションパートナー」としてのAIの活用について構想しました。それが「バーチャル販売員」という新たなソリューションです。

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世の中の多くのチャットボット販売員:人格が無機質かつ汎用的

「バーチャル販売員」は、平たく言うと、生活者へのコミュニケーションを生成AIで生み出すツールです。すでに、世の中にはチャットボット販売員というツールが存在していますが、人格が無機質で汎用的という難点がありました。

洋服にしろ車にしろ、従来のチャットボットのような無機質な販売スタッフに何かを相談したり、商品を買いたいと思う人は少ないはずです。場合によっては、クレームや返品が増えることも想定されます。

バーチャル生活者のノウハウを活用して、リアルな販売員をバーチャル化

そこで、私たちは、生活者が買いたい販売スタッフにリアルもバーチャルも接客してもらうことができないかと考えました。

具体的には、バーチャル生活者で培ったノウハウを活用することで、リアルな販売スタッフをバーチャル化したわけです。リアルな販売スタッフの接客方法や個人的な趣味、個性を多角的に反映させることで、数千タイプのバーチャル販売員をつくることが可能になります。そうすることで、リアルとバーチャルが同じ人格で、オンラインとオフラインをまたいで対話・接客できる“ハイブリットな接客UX”を実現しました。

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オンラインで対話したくなる、アバターデザインとUIUX

また、ブランドの世界観を生活者が体感できる体験設計を目指し、オンラインで対話したくなるアバターデザインとUIUXを設計しました。

「バーチャル販売員」には、顧客接点の拡大、対話頻度の向上、ユーザーデータの蓄積の他に、販売スタッフの働き方改革など、ビジネス/マーケティング上の多様なメリットがあります。

フロントデスク、コールセンター、カウンセリングなど、お客様とのコミュニケーションが発生するあらゆる場面で活用できると同時に、カーディーラー、住宅メーカー、保険の販売員、美容部員など、多様な業界に対応可能です。

以上、博報堂が考える、生活者発想型の生成AI活用について、お話させていただきました。

博報堂が考える、生活者発想型の生成AI活用アプローチ

生活者の本音を生成AIで理解する“バーチャル生活者”、そして、生活者へのコミュニケーションを生成AIで生み出す“バーチャル販売員”。企業と生活者のコミュニケーションの場を拡げ、新たな体験を創る、博報堂エクスペリエンスクリエイティブ局の取組みにご興味がある方は、ぜひお声がけください。

プロフィール

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入江 謙太

株式会社博報堂 コマースデザイン事業ユニット CXクリエイティブ局 
クリエイティブ、ストラテジー、UX&サービスデザイン、アート、テクノロジー、データサイエンスなど、多彩なプロフェッショナルチームを統括し、広告の枠を超えた事業・商品・サービス開発、大規模Webやアプリ開発、ロイヤルティプログラム開発、EC構築、OMO店舗開発、マーケティングプロセス変革、人材開発支援、地域創生など、幅広い領域の業務を行う。博報堂の「生活者発想」を軸に、単なる効率化や最適化を超える、価値創造型AIの活用を推進し、新たな体験価値を生み出している。

栗田 昌平

株式会社博報堂 コマースデザイン事業ユニット CXクリエイティブ局 
デジタル領域を中心に広告キャンペーンの企画・制作やサービス開発、UI/UXデザイン業務に従事。Web/アプリはもちろん、リアル/デジタルイベント、メタバース、XRに関する体験デザインを行う。最近では、生成AIを活用したサービス開発業務を推進中。 

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BIZ GARAGE 編集部

ビジネスをとりまく環境の大きな変化により、最適な手立てを見つけることが求められる現代。
BIZ GARAGEのコラムでは、生活者の心を動かし、ビジネスを動かすために、博報堂グループのソリューションや取り組みのご紹介、新しいビジネスの潮流などをわかりやすく解説しています。

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